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ベーシックインカム

先日書いた「ベーシック・インカム」の感想の続き。今日は第3章について。

第3章 ベーシック・インカムは実現できるか

現在、国家がなしているさまざまな業務をBIの支給に置き換えれば、国家は貧困を解消することができる。資本主義の矯正をもっとも効率的に行えるのがバラマキであり、究極のバラマキとしてのBIである。

P178

この章は財源など、BIの実現可能性について。それと、BI導入で想定される問題や批判などへの回答。

BIの制度と財源

まず前提条件として、BIは従来の社会保障の代替なので、年金や失業保険とかの予算をすべて財源とする。医療保険は、改革の必要はあるが、本書ではほとんどノータッチ。年金の2階建以上については、私的年金に置き換えるのが望ましい。所得税は累進課税を廃止して一律30%。

BIの制度は、20歳以上に月7万円、20歳未満に3万円を支給する。BIに必要な予算は32.9兆円。代替財源の候補は、老齢基礎年金(16.6兆円)・子ども手当(1.8兆円)・雇用保険(1.5兆円)から19.9兆円。一般会計の中の生活保護負担金。中小企業関係費・農林水産省予算・地方交付税交付金のうち、無理やり雇用と所得を維持するために使ってる費用から、15.9兆円。合計で35.8兆円を想定。

BIもらったら働かない?

何もしないで金がもらえるなら、誰も働かなくなるのではないかという批判があるが。収入があればその分支給額が減る、現在の生活保護受給者なら確かにそのとおりだが。BIだと、収入があって税金で3割引かれても支給額自体は減らないので、BIなら働けば働くほど収入が増える。それゆえ、少なくとも生活保護よりは労働意欲は阻害されない。それに、受給額だけでもゆとりを持って暮らせる生活保護と違って、月7万のBIだけでは最低限の生活しか出来ないので、この金額で満足できる人は多くない。

BIの運用方法

筆者が想定してるBIの運用方法は、すべての成人に年84万円を銀行口座に振り込む。基礎控除などほとんどの控除を廃止する。厚生年金は独立採算制の年金に置き換える

銀行口座については、一人一つしか持てないBI口座を作らせて、BI含めたすべての所得をBI口座を通すようにさせる。これによって個人の金の流れが把握できて、税務署の仕事も楽になる。BI口座を通さない所得については「正しく所得を申告したかの挙証責任は、この口座を通さなかった人のものとなる」とする。

BIの水準は低すぎるか

本書で提案するBIは、月額20歳以上 7万・20歳未満 3万の支給だが、これでやっていけるかという疑問について。筆者は、生活保護以下であることは認めているが、著しく低いわけではないと説明。現行の生活保護水準が高すぎるのに加え家賃補助があること、BIの子供への支給が少ないことを理由としている。

具体的な世帯で例を挙げると。BIの給付水準は、子供が二人いる夫婦なら都市部だと大分見劣りするが、町村部では変わらない。老夫婦のみだと、都市部では低いが町村部では逆に多くなる。子供一人のシングルマザーの場合だと、都市部では圧倒的に少なく、町村部では差が縮まるとはいえかなり厳しい水準になる。

都市部での生活保護の優位性については、住む地域によって金額が変わる生活保護制度がおかしいと批判。支給額は固定にして、都市部に住めなきゃ住めるところへ引っ越せばいいと一蹴。個人的には同意。

子供への支給が少ない点については、大人の支給を減らしてその分子供を増やす手もある。本書では、大人の月7万円を6万3500円に引き下げれば、子供を月6万円まで引き上げられるとしている。

本書では一人暮らしのケースについてはまったく想定していない。月7万円だと、健康ならまだなんとかやっていけるだろう。住むところを持ち家か、賃貸なら公営住宅かそれに近い家賃で済ませるのが絶対条件になるが。まあ、若ければ普通働くから問題無いというか、おそらく筆者には到底思いつきもしないケースなんだろうが。35歳過ぎると、それすら厳しくなるからな。BIが導入されれば、状況が変わる可能性もあるが。

ただ、一人暮らしってのは、年をとってからパートナーと死別した老人だって該当するんだけど。この点についての筆者の見解を聞いてみたい。

医療問題

医療費については、BIだけでは解決できないとも考えている。それなので、「生活保護費のうちの医療費に使っている額は、BIの代替財源から除外している」。本書では医療保険という言葉が度々出てくるが、これは民間の医療保険ではなく、国民健康保険や会社の健康保険の意味で、基本的には国の仕事だと考えているようだ。

対策は「いくつかの医療保険のメニューを提示し、人々はそのどれかに強制的に加入させられるという制度を考える」として、選択肢の例は以下のとおり。

  1. 終末医療は受けない
  2. 生活の質を保てない延命治療を受けない
  3. 効果のそれほど明らかでない医療を受けない
  4. かかりつけ医の診断を得なければ専門ないし大病院に行くことが出来ない

この項目を選べば選ぶほど、保険料が安くなる医療保険制度を作る。

BIがメインの本なので、この件については正味2ページもないので、あまり突っ込むべきではないのかもしれないが。医療費の上昇がBIの実現・維持の妨げになりかねない重要問題なので、一応書いとく。

個人的には保険料を安くするのには反対。単に、選択肢については保険適用外にするだけでいいだろう。保険料を安くするのは、医者にかからなかった人とか、医療費が健康診断とかの保険適用外の全額自腹だけか、少額だった人のみを対象にして。さらに、非喫煙者・非肥満者・健康診断の数値に異常なしといったプラス要因に応じて割り引けばいい。もしくは、上記に反対の人には保険料を引き上げるか、保険料はそのままで自己負担割合を増やすか。いっそ両方増やしてもいいと思うが。

4については、国も最初に病院に行く時は、近所の小さい病院での診断を推奨してるが。かかりつけ医のレベルを上げずに実施するのは、片手落ちだろう。都内はどうか知らないが、地方だとかかりつけ医の役割を果たせない奴もいるからな。知り合いの話だけど、お腹が痛くなって近所の病院行ったけど治らなくて。結局、症状が悪化して大病院に行ったら、胆石が原因で手術したらしい。この場合、最初に見た医者の最低限の仕事は、適切な診断が出来なければ専門医や大病院を紹介して、初診料アップされないで済むように紹介状を書くことなんだけど。

下のコラムに書いてある「「様子見ましょう」で手遅れになるような医師では嫌なのです」ってのが、国民の正直な気持ちじゃね。

「かかりつけ医」 の意味はなんでしょう

まあ、今の健康保険でも、医療費が上限超えれば高額療養費制度が使えるから、大部分の人はなんとかなるんじゃない。今後も、この制度が維持されるかどうかは疑問だが。高額療養費制度があっても、どうにかならない人には、「現行の生活保護の運用を改善して賄うしかないだろう」と書いてるが。この問題については決定的な対策はないよな。

BIは賃金を引き下げるか

BIで一定の収入が保証されれていれば、劣悪な条件で働くぐらいなら働かなくなるだろう。そうなると、金がないから仕方なくブラック企業で働く必要がなくなれば、企業は給料を上げるしかなかろう。すき家やワタミみたいに。

また、遊ぶ金欲しさに短期や短時間働きたい人もいるだろう。今までだとそういう仕事は厚生年金に加入させなくてもすむ、学生アルバイトや扶養範囲内に収入を抑えたいパート主婦年金収入が減らない程度に働きたい年寄りの独壇場だったが。BIで、扶養控除とかが廃止されれば、それ以外の人にも働き口が増えるだろう。そうなれば、多様な働き方を認める社会になるんじゃね。

BIと移民

ここは原文そのままで引用。「移民は、年500万円以上を間違いなく稼げる人に限定して認めるしかない。福祉国家は、移民を制約する国家であることを、むしろあらかじめ明らかにしておくべきだ」

これは文句なしに賛成。移民にも寛容な福祉政策は軋轢を生じるだけ。

夢追い人を増やさないか

働かなくても一定の収入があれば、役者や小説家などなれる可能性の低い職業を目指す夢追い人が増えることを懸念してる人には、そうかもしれないと認めている。だが、これは別に良いことだとも言ってる。

私も、現状の生活保護受給者がパチンコ行くよりは全然いいと思う。もしかしたら、そこからベストセラー作家が生まれるかもしれないし。

かつて『ハリー・ポッター』作者ももらっていた「生活保護」 | ダ・ヴィンチニュース

だからといって、生活保護で上記記事にあるようなサポートを政府がやるのは金の無駄。ハリポタ作者にかけた費用は、印税で回収できたかもしれないが。その他大勢のワナビーや脱落者や、本気じゃないけど金払わずサポート受けられて生活保護がもらえるからって、金もらうためだけに職業訓練受けてる日本の失業者みたいな奴が増えるだけ。

バラマキ政策は悪くない

バラマキ政策については明確に書いてる。「要するに、自分の気に入らない支出はバラマキで、自分の気に入った支出はバラマキではないようだ」

上記以外にも、バラマキが批判される理由のいくつかを述べている。頭使わずに誰でもできるから馬鹿にされる政策な点。これは、無能な政府が余分なコスト使って、バラマキより非効率な金の使い方をするほうが問題だと思うが。あとは、ばらまく対象が限られるので不公平感がある点。逆に子ども手当のように、金持ちにも貧乏人と同じ額を配ってると、これはこれで文句が出るんだよな。

感情論は無視して理論的に考えれば、BIは全員に配るから公平でいいじゃないか。金持ち云々については、いちいち所得制限とかをかけるコストを考えると、効率重視で問題無いと思う。それに、本書にも書いてあるが。現状でも、所得の多寡に関係なく所得控除されてるからな

本書では想定されてない問題

そんな訳で、ベーシックインカムについての記述には全面的に賛成なんだけど。いくつか本書では触れてない件について指摘してみる。

海外移住

BIの要件を日本国民にすると、国籍抜かずに海外に住んでる人にも支給されるんだろうか。現在の年金は、海外の銀行の振り込み手数料を国が払って支給してるが。振り込み手数料は、受給者負担にすべきだと思うけどね。

個人的には、国内在住も条件にして欲しいかな。BIで受け取ったお金を、日本の消費に貢献しないで海外で使われても、百害あって一理なしなので。そうなったとしても、私設私書箱を住所にして外こもりとかされたらどうしようもないが。

海外に行く時に出入国管理をして、日本に滞在してる日数をカウントしてチェックするか。すでにこういうことしてるなら問題ないけど。

ちなみに、今のパスポートってICチップ搭載してるのか。けど、パスポートの情報が偽造されてないか確認するぐらいしか出来ないのかな。しかも、ICチップ読み取れない・読み取らないところなら意味ないみたいだし。

大阪府/パスポートのミニ知識

3K労働

BIを導入しても労働意欲は下がらないとは思うが。それでも、介護とかのきつい仕事に就く人は、今より減る可能性はあるな。これは、どこまで3K労働の給料が上がるか次第だが。人件費の上昇は当然、介護費用にも影響は出てくるだろう。

そうなると物価も上昇するだろうから、BIもそれに連動するようにしないと、今の年金みたいに目減りしていくな。

「ベーシック・インカム」感想

本の最後のほうに、こんなことが書いてある。

ベーシック・インカムによって国家は貧困を解消できる。また、他の方法によって貧困を解消することはできない。

貧困問題はお金だけでは解決しないけど、お金さえあれば解決する問題はBIで解決するし。雇用創出にかけてる無駄な費用をなくせるし。生活保護(医療費除く)と基礎年金については廃止できるし。BIで人的リソースと金を無駄に浪費しなくてすむ分、金以外のサポートにも資源を回せるって事だろう。医療費問題については解決出来ないけど、現状の生活保護だと解決どころか悪化する一方なんだからそれより全然マシ。

ちなみに筆者は、今の生活保護はもらい過ぎと考えている。生活保護受給者が、国民健康保険や医療費の免除があるという点については触れていないが、それでも多すぎると思っている。まあ、月7万円のBIがあれば、憲法で保障する健康で文化的な最低限度の生活は送れると思ってるんだから当然だが。

ベーシックインカムは、「ダメ人間を国が養う必要があるのか」とか、「金持ちにまで金を渡すのか」などと批判されてるが。日本で生きている以上、多かれ少なかれ税金の世話になってるわけで。金持ちだと自分が享受する公的サービスより、払ってる税金のほうが多いんだから、たとえベーシックインカムが導入されたって、文句を言われる筋合いはないだろう。

もっとも、ベーシックインカムは世界中でまったく実績のない政策だから、日本で実現する可能性は現時点ではほとんどないと思うけど。受給者を堕落させるだけの生活保護制度を、その場しのぎの対応で延命するだけ無駄だから。ベーシックインカム導入の前に、とっとと住宅・医療扶助は廃止して、現金一律支給一部現物支給に切り替えるべき。まずはそこからだな。

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ベーシックインカム

なんか、ベーシックインカムが財政的には実現可能と書かれた本があるという記事を読んだので、ちょっと読んでみた。

ベーシック・インカム : 年間生活費100万円! 36歳からのドケチリタイア日記

ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか

とりあえず気になった記述をまとめてみる。もっと詳しい説明や根拠について興味のある方は、本のほうで確認して下さい。なお、「BI」「べーシック・インカム」の略です。

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第1章 所得分配と貧困の現実

本書のBIの提案は、生活保護に支出されているレベルを下げて、それをすべての人にアクセスできるようにしようということである。

P45

まずは日本の福祉についての現状分析。日本では、企業に社会保障の一端を担わせてるが、本来は国の仕事ではないかと指摘。もっとも、これは正規雇用のみの話。現在では非正規雇用が増えているので、その恩恵を受けられず貧困に陥る可能性が高い。

そういう人の為に生活保護があるが、日本の生活保護は受給水準は高いが受給率は低い。おそらく、このほうが広く浅く支給するよりも費用が抑えられるからと推測。事実、他の先進国と比べて、GDPに占める生活保護の支出割合は低い。

また、現在実施されてる雇用の創出などについても、中間で中抜されて一部の既得権益層が得するだけで無駄が多い。だったら、全員に公平に現金をばら撒いた方が効率がいいし平等である。それを実現するにはBIが一番手っ取り早い

第2章 ベーシック・インカムの思想と対立軸

不正受給の多くが、収入があるのに申告してないケースだというのは、現行の生活保護制度の欠陥を示している。働けば生活保護費を減らされてしまうのでは、誰も働こうとしなくなる。あるいは、申告しようとしなくなる。BIが導入されれば、働いて収入を得ることは賞賛されることになる。

P108

この章は、BIの歴史とか所得再分配についての記述だが、興味ないので大幅に省略。

BIには世代間格差がないので、現状の著しく若者に不利な高齢者勝ち逃げ年金制度よりも優れている。今後、歴史的な超少子高齢化社会を迎える日本には、有効な政策である。

また、生活保護の不正受給者の多くは、収入があるのに申告しない点について触れている。具体例として、もうすぐ政界引退する橋下徹市長の「不正受給調査専任チーム」による対策をあげているが。

大阪市の生活保護不正受給“容疑者”は、専任チームに1ヶ月間監視されている – ニュース – ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]

「ケースワーカーは生活保護者を100人くらい担当しているなんてザラですから、時間的余裕がない。そこでケースワーカーに代わってわれわれが調査する。家から出るところに警察OBが張り、僕は店のほうにいる。家を出ると警察OBから僕に電話が入る。自転車でスナックに出勤してくる。店に入り開店準備をしていることを確認する。調査は最低でも1ヵ月続けます」

その為の人件費は無駄と切り捨ててる。ちなみにこの制度、今でもやってるみたいだな。

大阪市 政策企画室 【報道発表資料】生活保護の適正実施に取り組みます

全区に配置している、警察官OBを含む「不正受給調査専任チーム」により、不正受給が疑われる事案に対して重点的調査を実施し、引き続き不正受給の徹底排除に向けた取組を推進します。

【平成27年度予算額 2億800万円】

2億800万も使うのかよと思ったが、大阪市の生活保護の予算(H23年だが)の0.1%にも満たないのか。これなら気合入れて調査すれば元取れるかも。

大阪市市政 生活保護行政に関するよくある質問

大阪市における生活保護費の平成23年度予算は2,916億円となっています。

で、実際の成果はどうかと思ったて調べたら、個別の案件についての詳細まで公表してた。生活保護Gメンといい、FAQの細かさと丁寧な回答といい、大阪市の生活保護への力の入れ方は半端ないな。

大阪市市政 不正受給対策

これを見ると一定の効果はあげているようだが。ざっと見たところ、返還された費用だけでは、元は取れてなさそう。まあ、不正受給者や予備軍への威嚇効果はあるだろうし。受給を打ち切られれば将来の支出も減るだろうし、数字だけでは判断できないかな。

もっとも前述したとおり、ベーシックインカムを導入すればこんなことする必要なくなるんだけどね。

今回はここまで

最後まで通して読んだんだけど。3章の「ベーシック・インカムは実現できるか」については、簡単に書けそうにないので、また次の機会にします。

続きを書きました
「ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか」を読んだよ補足 -第3章-

とりあえず、本書の言いたいことを大雑把にまとめるとこんな感じ。

一部の人にワープアより贅沢な暮らしができる生活保護費を支給するよりは、国民全員に文化的な最低限度の生活を送れる程度の金をばらまいた方が効率がいい。現行では、企業に社会福祉の一部を重荷に感じるほど負担させてるが、それは本来国が行うべきことで、財政的には今の日本でも実現可能(詳細は第3章で説明)。金を配ったからって、すべての貧困問題は解決できるわけではないが、現状の生活保護だって効果をあげてない。少なくともベーシックインカムなら、現在の社会保障政策でやってることより、貧困から救える人は多くなるのに手間暇金はかからない

個人的には、本書のベーシックインカムの内容については、ほぼ全面的に同意するので、財政的に実現可能なら実現に向けて進めてもらいたいと思っているが。実際にベーシックインカムが導入されると困る既得権益層の抵抗は、相当激しくなりそうだな。

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インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで

最近ゲームのプレイ時間が長くなってる私にちょうどぴったりな、「インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで」という新書があったんで読んでみた。

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とりあえず各章の概要と、感想を書いてみる。

プロローグ やはり脳が壊されていた!

まずは前置き。最初に中国での研究による、インターネット・ゲーム依存の若者の脳が麻薬中毒患者と同じような状態になってたことを言及している。そんな「デジタル・ヘロイン」がスマフォやネットの普及によって、いつでも誰でも安価に手に入る現状についての説明。

第1章 身近に溢れるインターネット・ゲーム依存症

インターネット・ゲーム依存症の生活や行動の具体例を紹介。また、脳に与える影響についての説明。

こういったゲームへの依存の悪影響が最初に報告されたのは1982年だが、その後の研究が進まず。ようやく30年過ぎてから「インターネット障害」として、アメリカの精神医学会の診断基準に採用されたことの紹介と、インターネット障害の内容。

第2章 デジタル・ヘロインの奴隷となって

インターネット・ゲーム依存症の特長について。

第3章 二次性発達障害とデジタル認知症

若い時にインターネット・ゲーム依存症になると、その後の負け犬人生確定しかねない危険性についての解説。

第4章 はまるにはワケがある―依存する側の理由

ゲームにはまりやすい人の特徴。

第5章 蟻地獄の構造―万人がはまる合成麻薬

依存症になりやすいゲームについての解説。

第6章 ネット、ゲーム依存症を予防する

韓国と中国のゲーム依存症対策と、日本の対応の遅れについて。また、予防の為の自己防衛方法の紹介。

第7章 ネット、ゲーム依存症を克服する

インターネット・ゲーム依存症になってしまった後の対応について。ここまで書いてなんだけど、だいたい章のタイトルそのままだな。

今回の感想

全体的には、具体的な患者の例を挙げてインターネット・ゲーム依存症を紹介して。状況を分析検証して、対策について考えるみたいな内容かな。

ただ、プロローグの研究って、インターネット依存の若者の対象者は18名しかいないんだよね。それなので、この研究結果ですべてを判断するにはサンプルが足りない気がする。ぶっちゃけ、脳機能が低下するまでゲームに依存してる、極端な例だけ集めただけじゃね。

たとえゲームにはまっていても、多数の人は普通に日常生活を送ってると思うんだけど。まあ、本書ではゲームを含んだインターネット依存者は400~500万人とも言われてるらしいが。この400万人以上のほとんどが、脳機能に深刻な影響があるんだったら、著者の警告どおりインターネット・ゲーム依存症は覚せい剤並のやばさで、国も本腰を入れて対応しないといけないだろうが。

実際はこの400万人って人数は、インターネット・ゲーム依存症じゃなくて、予備軍程度じゃない。そういった人は、日常生活よりゲームを優先させるかもしれないが。日常生活に支障をきたすぐらいはまってる人や、脳機能に影響が出てる人が多数派とは思えないが。

私のケース

とはいえ、この本に出てきたゲーム依存症の行動や、ゲームにはまった人の特徴とかは、自分にも思い当たる節がかなりあるんだよな。

私も最盛期は、家に帰ったらとりあえずゲーム。風呂に入ったら寝るまでゲーム。下手すると4時ぐらいまでやって、6時起きで会社に行ってたからな。流石にそこまでやると、電車の中では立ったまま寝て。仕事は頭ボーっとしながら省電力モードでこなして。昼休みは飯食いながら会社のパソコン(後に業務に関係ないサイトはアクセスが禁止されました)で攻略サイトをチェックして。午後の仕事が終わる頃になってようやく目が覚めて。家帰ってまたゲームって感じだったな。

しかも、そういった事を悔いているのに、今でもまだソシャゲに時間を取られてたりするからな。本でも、依存症が一定以上進むと一生後遺症が残るとか。一度やめても、またゲームをプレイすると再燃することがあるとか書いてあったが、まさにその通りかも。もしかして、脳検査受けたら脳機能低下してるかもしれん。

それを考えるとやはり、ゲームはやらないか、やってもほどほどにしといた方がいいな。それにしても、「ゲームは1日1時間」という高橋名人の言葉には先見の明があったな。

個人的なゲームについての考え方は↓
働きたくないけど働かなきゃいけない新社会人へ -若い頃にお金と時間を浪費すると、年取ってから後悔する事になるぞ-

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税金を払わない巨大企業

富岡幸雄著の「税金を払わない巨大企業」を読んだんだけど。筆者は、国税庁で税金を徴収する側にいた後、税金を取られる側の企業の顧問にもなったらしい。そんな税金のスペシャリストが主張する、消費税を増税するより先に利益に応じた税金を払ってない巨大企業から税金を取れ、ということが書いてある。

以下に各章ごとの簡単な内容と、章によっては読んだ感想とかを書いてみる。

第1章 大企業は国に税金を払っていない

日本の法人税の税率は高いように見えるが、大企業が払っている税金は税率よりも低いという指摘。企業の税引前の利益と法人税から割り出した実際の税率を「実行税負担率」として、これが低い大企業35社の例をあげて説明してる。

例えば、「とくにソフトバンクは、2013年3月期の税引前利益が788億8500万円もありながら、法人納付税額がわずかにで500万」とか。ただ、この本読む前にAmazonのレビュー読んだんだけど、本書が例に出してる数字って、グループ企業全部合わせた連結決算じゃなく、持ち株会社の単独決算が半分以上なんだよね。具体的には、税金払ってないベスト10のうち9社は単独決算で、全35社でも18社。

トンデモ本大賞候補ですか, 2014/10/4

ソフトバンクならIRページの決算短信に連結決算が公表されてるので確認したけど。

決算短信(PDF形式:1.26MB/106ページ)

上記PDFファイルによると、税引き前利益が9323367百万円。当期利益が586149百万円。当期利益は税引き後の当期純利益だとすれば、346218百万円の税金を払ってるから、ソフトバンクグループ全体での実行税負担率は約37%

ちなみにユニクロのファーストリテイリングだと2014年8月期の期末決算によると、税引前利益が135470百万円。当期利益が79337百万円。税金は56133百万円なら税率約41.4%。決算の数字だけ見るなら、ファーストリテイリンググループ全体では、実効税率もほぼ法人税ぐらい払ってる。

期末決算

もっとも会長の柳井氏個人は、オランダの資産管理会社に株を譲渡するなど、数億円規模の節税になるような行為をしてるらしいが。

531万株を海外へ売却 ユニクロ柳井社長の「狙い」

それは置いとくとして、本書の例に出された35社ぐらいの大企業なら、持株会社の単独決算だけで判断する意味はないな。

とはいえ、本書のリスト上位35社には、連結決算でランクインしてる下記17社もある。これらの企業については、「税金を払わない巨大企業」と言ってもいいかもね。

オリックス
ANAホールディングス
住友商事
三菱重工業
富士重工業
丸紅
ニコン
日産自動車
サントリーホールディングス
阪急阪神ホールディングス
伊藤忠商事
本田技研工業
キャノン
トヨタ自動車
スズキ
日立製作所
ソニー

また、トヨタは十分な利益があるのに税金を払ってなかった時期すらある。

大企業優遇税制 恩恵たっぷり トヨタ法人税ゼロ円 08~12年度 株主配当は1兆円超■内部留保も積み増し

ちなみに、税金は払っていなかったけど、自民党には献金し続けてたりもする。

法人税払わぬトヨタ 自民には巨額献金継続

第2章 企業エゴむき出しの経済界リーダーたち

ここは精神論。筆者の主張を一言で言うと、大富豪の経営者は私腹を肥やすだけじゃなく、企業の責任を果たせ。

第3章 大企業はどのように法人税を少なくしているか

具体的な節税方法の説明。内容については本書参照。

第4章 日本を棄て世界で大儲けしている巨大企業

第5章 激化する世界税金戦争

この2章は、最近の先進国共通の問題である、世界的な租税回避の流れについて。

第6章 富裕層を優遇する巨大ループホール

金持ちが金持ちたる不労所得が、労働所得に比べて優遇されてる点について。

第7章 消費増税は不況を招く

大雑把に意訳すると、消費増税は大企業や富裕層にはどうってことないが、中小企業やそれ以外の個人には影響が大きいから好ましくない。

第8章 崩壊した法人税制を建て直せ!

現行の税制への苦言と将来の見通し。

今回の感想

本書では、日本の法人税の税率が高いと主張してる割に、ユニクロの柳井会長が世界的な大富豪になれたのは、持ち株会社の実効税率の低さを持ち出して、税率が低かったからだと言ってるが。実際は、巨大企業ファーストリテイリングはグループ企業の頂点に君臨する持ち株会社が子会社・関連企業の利益を吸い上げて、一部の人間の為に富を集中させたのが理由ではないかな。ソフトバンクも同様。

つまり、限られた富裕層だけが富を独占してトリクルダウンが発生しないのは、現行の税制度の不備が原因だからなんとかしろ。それが本書の主張だと思えた。この状態で、仮に法人税を上げたとしても。税金の優遇措置を享受できる業種や、制度の不備を見つけ抜け道を探せる優秀なドリームチームを抱えた大企業なら、痛くも痒くもないだろう。しかも、現実には法人税を下げると言ってるんだからな。

Amazonのレビューでは、巨大企業の子会社・関連会社を除いた単独決算の数字を例にあげてることについて、ぼろくそに書かれてるのが目立つが。確かに、連結決算で評価しないと意味はないと思うけど。その点だけを責め立てるあまり、全体的な内容を評価してない批評が目立ってる。パッと見で客観的に判断してると思えたのは、下記レビューぐらいかな。

大企業が悪いわけではないが, 2014/9/26

少なくとも、実名だしてる17社については、連結決算でも実際に払った税金は法人税率より低くなってるし。本書で書かれている税金逃れの手法が、日本の税制の不備に原因があり、その対策が必要だという意見は間違っていない。トータルで判断するなら良書だと思う。

それなので、「税金を払わない巨大企業」というタイトルはいいとしても、帯でユニクロ・ソフトバンクを全面に出してるのは間違いだな。これは筆者の責任ではなく、おそらく出版社の宣伝担当者の問題じゃね。もし、ユニクロ・ソフトバンクがメインなら、内容とそぐわなくなるがタイトルは「税金を払わない富裕層」とかの方がしっくりくるかな。

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So What?

こないだセールで買った、Kindle版のわかつきめぐみ「So What?」なんだけど。

わかつきめぐみのSo What?電子書籍版がKindleで3巻まで108円 -全4巻買っても856円-

紙の単行本1巻を引っ張り出して比較してみたら、結構変更されてる点があった。悪い方に。これは電子書籍化の問題と言うよりは、文庫本にした時の編集の問題だと思う。以下に、紙の単行本との比較を上げてみる。

扉絵

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電子書籍版の目次はこのようになっていて、単行本とはちょっと違う。だが、もっと大きい違いは扉絵の扱い。電書だと各話のタイトルも、向かって左のようにテキストのみで処理されているが。単行本だとすぐ1ページ目になっていて、次は見開きの扉絵にタイトルが入ってる。

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一方、電書では単行本に合った文字の写植がない状態で収録されている。当然、単行本の方が連載時の状態に近いんだと思うが。電書の方が絵だけが見れるから、かえっていいって人もいるかも。

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おそらく、電書の元になった文庫版は通常の単行本より小さくなるので。絵の上に文字が載ってると、ごちゃごちゃして見づらいって理由だと思うが。こっちはそれほど重要な変更点ではないんだが、次のは致命的。

おまけコーナー

単行本のページでは、おそらく広告か何かで余った余白の穴埋めだと思うが。作者のおまけコーナーみたいなのがあるんだけど。これがばっさりカットされてる。

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これも電子書籍だからでなく、おそらく紙の文庫本がそうなので合わせてるんだと思うが。やっぱり字が小さくて読みにくくなるって理由なんだろうか。

ちなみに、単行本の第1巻では「ウラ話うちわネタ 5」まである。

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それと単行本では、本編のSo What?以外の読みきり作品も収録されているが、電書ではそれもない。これは特に問題ないかな。

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今回のまとめ

So What?の電子書籍版はちょっと残念なことになってるかな。まあ、上記の写真で分かるとおり、単行本には紙の劣化があるので、今回電書で買った事を後悔することはないんだけど。4巻完結で1~3巻が108円だったからな。でも、通常価格だと、正直お勧めできないかな。

So What? 1 白泉社文庫

ただ、今回は文庫本が元になってるからかもしれないが。それでも、オリジナルの紙版と比べると、電書版は劣化コピーになっているんだよな。電子化の再現度がこの程度だと、手持ちのマンガを処分して電子書籍に移行する事は出来ないな。紙本を処分する覚悟があるのなら、中途半端な電子書籍を買うよりも、自分で自炊した方がよっぽどいいかな。

そんな訳で、So What?に限らないけど、電子書籍はページの端々まで思い入れのある作品なら、スクエニとかキルタイムみたいに電子書籍でも紙に近いようにしてる出版社以外は買わない方がいいかも。そこまでこだわりはないけど、たまになんとなく読みたくなるような作品なら、安売りしてる時に電子書籍で買ってもいいかな。

セール時でもよほど割引率が高くなければ、全巻そろえるとなるとブックオフの100円コーナーよりは高いんだけど。日本の住宅事情を考えるなら、かさばる紙の本の保管コストまで考慮すれば、その値段差を無視できる水準まで値段が下がるなら買っても良くね。広い持ち家があって収納に困らないなら別だけど、それでも紙の劣化リスクは避けられないし。