一生お金に困らない家の買い方
「一生お金に困らない家の買い方」を読んだ。この本は、最初に書いてある3つの重要ポイントに基づいて、構成されている。
1. 「購入」と「賃貸」、経済合理的にあなたのスタイルに合った住まいの選び方
2. 価値が目減りしない家の選び方
3. 住まなくなったら「貸せる家」の探し方、作り方
内容を簡単にまとめると、家を買うなら資産価値の高い家に限る。分相応なローンは組むな。大家さんになればうはうはでっせ、という感じ。基本的には、正規雇用者でサラリーマンの平均年収ぐらい稼いでる読者がターゲットになってるので、貧民の私には関係なさそうな本だった。それでも、個々の項目とかでは役に立つ記述もあったので、気になった箇所についての考えとかを書いてみる。
家の選び方について
まずは購入する物件を選ぶ時に、判断材料に使えそうな制度に関する記述。具体的には、既存住宅売買瑕疵保険と住宅性能表示制度。
既存住宅売買瑕疵保険
この手の本には、家を買うなら価値が目減りしにくい中古住宅の購入を勧めるのが多いけど。状態の良い物件に限るって条件なんだよね。その後、素人が状態の良し悪しを見極めるのは難しいので、ホームインスペクション(住宅診断)しろって流れになる。確かにそうなんだけど、結構な額の出費が必要になるのがネック。
この本ではさらに、既存住宅売買瑕疵保険の利用を推進している。この保険は「既存住宅売買かし保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度」で、検査に合格した住宅でないと加入できないの。これに加入できる物件なら、一定の品質が確保される事になる。
保険については、「後日、売買された中古住宅に欠陥が見つかった場合でも、補修費用等の保険金が事業者(事業者が倒産等の場合は買主)に支払われます」との事。
制度的には優れているが、業者からしてみると、費用を負担してまで加入するメリットがないようで、あまり使われていないらしい。本書によれば、「検査料と保証料は、住宅の規模によっても違いますが、検査量が5万円前後、保険料が10万円前後、合計で15万円前後となっています」なので、それほど高くはない。
とはいえ、検査に合格しなければその分は修繕しないと保険に入れないから。状態の悪い中古住宅なら、修繕費用がかかる事には変わりないけどね。逆に言えば、この程度の費用をかけて売り出せない物件って事は、何らかの問題を抱えていると判断しても間違いあるまい。
ついでにリフォームの場合、「引渡し後リフォーム型既存住宅売買瑕疵保険」という制度があるので。中古住宅購入とリフォームを考えているなら、保険加入するか検討してみた方がいいだろう。
住宅性能表示制度
住宅性能表示制度とは、住宅の性能を統一した基準による等級や数字で表示するもので。「「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」という。)」に基づく制度」らしい。元々は新築住宅向けに作られた制度だが、中古住宅でも利用できる。その場合、施工段階のチェックは当然出来ないので、目視や計測によるチェックしか出来ない。
この制度を利用するメリットが3つあって、1つは「円滑かつ迅速に紛争処理を行ってもらえる」事。ちなみに、手数料は1件あたり1万円らしい。2つ目は「住宅ローンの優遇が受けられる」事。3つ目は「地震保険が優遇される」事。本書では、評価機関に支払う手数料は、戸建住宅だと20万前後と書いてある。
新築で家を建てるなら、利用を検討してもいいんじゃない。中古なら、既存住宅売買瑕疵保険でいいか。
家の買い方
続いて、家の買い方。基本的には、家を買うときには無理のないローンを組めという事だが。その為のハウツーなどについて。
人生の3大コストを抑える
まずは支出を減らす方法について。一般的には、人生で大きな支出と言うと、「家」「教育(子供)」「老後」「保険」「車」らしい。本書では人生の3大支出を「車」「家」「保険」としている。食費とか、他の支出を抑えてもたいした節約にならないけど、出費の大きい3大支出を抑えれば効果は絶大と主張している。
保険
まずは保険について。終身保険には入るな。入るなら子供が出来た後で、逓減定期保険にしろ。医療保険も不要。保険についてはこの後のページに、「団体信用保険に加入したら生命保険はリストラしよう」と、住宅購入後のフォローも入ってる。確かに、団信入ってればローン支払中に旦那に何かあったら、保険金でローン残額が払われるからな。
逓減定期保険というのは、補償額が年々減少していくタイプの保険で、その分保険料も安くなる。なんでこの保険がいいのかというと、子供にかかる金は成長するにつれ少なくなっていくから。なので、逓減定期保険に入るのは理にかなっている。ここまでは納得できる。
個人的な保険についての見解は↓
働きたくないけど働かなきゃいけない新社会人へ -民間の保険には入っておくべきか?-
車・家賃
だが、次の2点については少し疑問を感じた。それは、車を持ってたら手放せと、家賃は収入の1/10に抑えろという主張。車に関しては単独なら同意する。ただ後述するように、筆者は家賃を下げるために都落ちを勧めてるが。地方都市だと車がないとかなり不便な地域もあるので。
本書の例だと月収30万なら家賃は3万以下って事で、「もし、今住んでいる町に家賃3万円の賃貸物件がなければ、通勤時間を犠牲にしてでも郊外に移るべきでしょう。都心で3万円のアパートといえば、風呂なしトイレ共同のボロアパートしか見つけることはできませんが、都心から1時間ほど郊外にいけば2DKぐらいのアパートはゴロゴロしています」としてるのはどうかと。
おそらく、この筆者ってまともに通勤して働いた事ないんじゃね。都心から1時間の郊外だと、最寄り駅から家と会社までの時間と、電車の乗車時間・待ち時間を合わせたら、片道1時間半ぐらいは軽くかかるだろう。往復なら3時間だぞ。都心周辺から郊外に引っ越すとなると、通勤時の負担は相当増えるだろ。個人的には、部屋の広さを犠牲にしても、通勤時間をとるべきだと思う。
参考までに、新宿駅まで通勤時間90分(乗車時間以外も含む)で、家賃3万円の2DK以上でバス・トイレ別の賃貸物件を検索してみたら、9件見つかった。しかし、2DKといっても、部屋が繋がってるところが多いな。それなりの間取りの物件は、詳細が不明で除外したのを除けば下記2件。
東武越生線 武州長瀬駅 徒歩5分のマンションは、玄関開けたらいきなりDKで脱衣所ないけど、部屋振り分けっぽい。通勤は乗り換え2回で、1時間 27分 ( 乗車62分 他25分) 距離:53kmだから、かなり遠いけど。家賃は、管理費込みだと3.1万円。
http://www.homes.co.jp/chintai/b-1180850008054/
JR常磐線 南柏駅 バス10分 東中新宿下車 徒歩2分のアパートは、部屋振り分けで脱衣場・洗濯機置き場もあるな。脱衣場は玄関から近いけど、アコーディオンカーテンとかで仕切れば良さそう。難点は駅からバス10分のとこ。通勤時は、1時間 8分 ( 乗車48分 他20分) 距離:34.4km。乗車時間だけなら悪くないんだが。東武野田線 新柏駅まで徒歩19分だから、自転車で行けばと思ったが。そこまでするなら、晴れの日はバス乗らず、自転車でJRの南柏駅に行った方が良さそう。Googleマップで見たら、距離は2.3kmぐらいだし。家賃は2.8万円。ただ、これ「告知義務あり」って、事故物件?
http://www.homes.co.jp/chintai/b-1064230506875/
どっちにしても、通勤するにはきつくねえか。2DKぐらいって事は、最低限結婚していて子供もいるかもしれないという前提なんだろうが。それなら、もう少し予算増やしてもいいと思う。独身なら、アパートでもワンルームマンションでもなんとかなるだろうから、給料の1/10に抑えるのに挑んでもいいと思うが。
もっとも、月収30万って事は、ボーナス3ヶ月として年収450万だと、リーマンの平均年収超えてる。平均の400万なら26.6万。底辺正社員で300万だと20万だから。その1/10に抑えるのは、賃貸物件を借りるなら正直現実的ではないと思う。
まあ、社宅の利用や、実家が近ければ親と同居しろってのは同意見だけど。
個人的な3大支出についての記事は↓
働きたくないけど働かなきゃいけない新社会人へ -人生の3大支出をなんとかしようぜ-
お金を貯める
支出を減らす事の次は、お金を貯める事の話になるが。当面は、種銭500万円を貯める事を目標にしている。ここまでは労働収入でも、「手取り収入が300~400万円の人でも2~3年あれば貯めることができる金額です」と書いてある。まあ、この収入と年数は置いといて次行くと。この種銭を元に効率よく増やす事を勧めてるが。その方法は、「誰でも100%安全確実にお金を増やせる方法があります。それは複利で運用する事です」との事。
その割には、具体的な投資商品についての説明はないし。図表で単利と複利を比較したりしてたりするが。種銭500万などとはっきりした数字を出してる割に、500万を利回り何%で運用すればいくらになるとかの記述がまったくない。
まあ、ぶっちゃけ2~3年で500万貯められるって事は、年間貯金額166万~250万ぐらい。だったら利回り考えなくても、10年で1660万~2500万ぐらい貯まるだろ。これなら難しいこと考えずに、普段は東京スター銀行の1週間円預金か新生銀行の2週間満期預金に預けといて。定期預金の高金利キャンペーンやってる時に、資金移動するだけで十分じゃね。
住宅ローン
この後住宅ローンのことについて書いてるが。この手の本なら大抵書いてある内容なので簡単に。本書では、家を買うなら身の丈のあった物件にすることを推奨してるけど。その金額については下記の通り。
「無理なく返済できるローン」+「自己資金の額」+「親からの援助」-「購入時の諸費用4~7%」=適正な物件購入予算の目安
ちなみにローンの限度額の目安は、「年収の25%を返済の限度額と考えておくといいでしょう」としている。年収300~400万なら年75万~100万か。この本では、ローンの借り入れ期間については、「借り入れ期間が短くなればそれだけ借り入れられる金額も減ってしまうのです」と書いてあるだけで、推奨する期間については触れてない。
一生お金に困らない家の買い方
最後の第6章では「テクニカルだけど超賢い「お金が貯まる家の買い方」」というタイトルになってる。中身は要するに、不動産投資の勧めみたいな内容。「分譲賃貸を安く買い、賃貸中は家賃でローンを返済し、退去後は中古相場で実需向け(買って住む人を対象)に高く売ることでその利ざやを稼ぐわけです」とか。「賃貸用マイホームをつくって自宅に稼がせる」とか。「アパートを購入して一室に住む」など。
筆者の浦田健氏は著者紹介によると
不動産コンサルティングの第一人者。著書は不動産部門最多となる累計27万部超。不動産コンサルティング会社の他、不動産管理会社、不動産投資会社を経営。自らも日々アパートの掃除を行う大家さんのひとり。
著書は
『「金持ち大家さん」になるアパート・マンション経営塾』『「金持ち大家さん」になるアパ・マン成功投資術』 (以上、日本実業出版社)、
『利回り20%をたたき出す戸建賃貸運用法』(ダイヤモンド社)、『お金が貯まる家の買い方』(フォレスト出版)ほか多数。
ということから分かるとおり。この本を読んだ人に、大家業に興味を持つように誘導してるみたいだな。
賃貸併用マイホーム
まあ、いい事ばかりでなく、デメリットも説明してあるけど。
前述した賃貸併用マイホームだと、5つのデメリットがある。まず「投資額が大きくなり、借入金が多くなる」こと。しかし、「大きなローンを組むことに精神的なプレッシャーを感じる人もいるでしょう。しかし、貸した住戸からの家賃収入さえあれば、単にマイホームを購入するよりも逆に毎月のキャッシュフローは良くなります」とは書いてあるけど。大家業最大のデメリット、空室リスクについての記述がちょっとしか書いてない。借り手がいなかったら、そのローンを自分で払わなければならないんだぜ。
2つめは「プライバシーの問題がある」こと。まあ、住宅購入でもマンションを検討してた人ならともかく。戸建買って、隣の部屋との煩わしさを回避したいと思ってたなら、ちょっと耐えられないかも。鉄筋コンクリートのマンションと、木造住宅だと同じ壁一枚隔てた状態でも大分違うしね。また、借り手の質が悪いとトラブルに巻き込まれる恐れだってある。たまにニュースでも、大家が借り手に殺害されたとか聞くし。
3つめは「賃貸経営について勉強する必要がある」こと。内容はそのまんま。空室リスクについては、「空室リスクや滞納リスクなどは、大家さんに直接、損失を与える項目ですので、基本的な流れ、リスクの存在、そしてその対処法は理解しておくべきでしょう」と、ここで触れているが、これだけ。
4つめは「事件・事故の可能性」について。「事件、事故などのリスクは保険で対応できるものもありますし」とは書いてあるが。ニュースで話題にでもなったら、借り手つかなくなるかもしれないし。アパートだったら他の住人が出て行くかもね。
最後のは「売却時に買主が限られる可能性がある」こと。少子高齢化で住宅余りが予想されるこのご時世だと、普通の住宅よりは売れにくくなるだろうな。「一部が接続した連棟形式にしておき、将来、、分割して売却できるようにしておくのも対策のひとつです」とは書いてあるが。それだとコストが余分にかかりそうだな。
そこまで面倒な事考えるなら、都心の駅近で築浅で管理と状態の良い中古マンション買った方がいいんじゃねって気もする。不動産も、いらなくなったら権利放棄して手放す事が出来ればねえ。だったら、都心に程近い中古ワンルームマンションでも買って、20年ぐらい住みつぶす事もできるんだけど
格安公団住宅
さらに「格安公団住宅を買ってお金を貯める」なんて方法も紹介してるけど。これはかなり疑問を感じる。
本書の実例で出してるJさんは、結婚して子供が出来て共働きから旦那の稼ぎのみで食べていかなければならなくなった。今暮らしてるアパートの家賃8万円を削る事を考えたが。それには住んでる地域でもっと狭い物件にするか、通勤時間を犠牲にして郊外に引っ越すしかない。そこで、某県の公団住宅の中古を買った。築35年鉄筋コンクリート造、47平米の2LDKで、お値段650万円。頭金50万円残りは35年ローンで、月々の支払はローン1万5000円+管理費・修繕積立金1万5000円の合計3万円。
ここまでは納得できる。家にくるチラシでもこういう条件の物件はあるし、私もある程度は検討してるから。けど、この条件だと駅から遠くて通勤にかなり不便なところが多いはず。通勤時間とのトレードオフとはいえ、かなり大変だと思うけどね。まあ、子供の為なら耐えられるのかな。間取りが10平米広くなって、毎月の住居費が5万安くなったし。
ただ、築古マンションだと建物の寿命が尽きた時の対応が心配。空室とか、管理費・修繕積立費を滞納してる住人が多ければ、大規模修繕で多額の追加費用がかかる恐れもある。築35年の割りに、管理費・修繕積立金が1万5千ってのは少なく思えるので、おそらく自主管理なんだろうが、管理組合がうまく機能してないと、後々面倒な事になるかも。まあ、Jさんの購入した物件は、「定期的なメンテナンスをしっかりしているにもかかわらず、まだ2億円の修繕積立金の残高がありました」ということだから、当面の心配はなさそうだが。
問題は、その後で「公団住宅は出口戦略をとりやすい」と書いてあるのはどうかと。Jさんは公団住宅を買う前に、「この公団住宅を貸したらいくらで貸せるのか」を調べたところ、家賃相場は月6万5000円から7万円だったとしてる。本書ではいつ買ったか書いてないが、おそらく数年前の話で昭和40年代に建てられた物件だと思うが。
だとすると、47平米の2LDKは、間取りをリフォームで変更したと思われる。この広さだと、元々は2DKか3Kではないか。このぐらいだと家賃は4万前後からあったと思う。多分5階建てでエレベーターがないタイプ。だとすると、4~5階は借り手がつきにくいと思う。実際、URの空室検索するとえ、エレベーターのないとこは低層階ほど人気なんだよね。
ついでに調べたら、JR京葉線「稲毛海岸」駅徒歩12分 JR総武線「稲毛」駅バス5分徒歩7分の物件が見つかった。築40~41年、1LDK・2LDK・3Kで、45~50平米だと家賃は55,200~67,800円、共益費1,910・2,930円。現時点で住める部屋だと、3K 47平米の2/5階で家賃58,600・共益費1,910ってのがあった。これなら、家賃6.5万から7万ってのも、共益費込なら許容範囲な数字か。稲毛海岸からは新宿方面だと面倒だけど、東京までなら京葉線1本で45分ぐらい。実際に乗ってみないと判断は出来ないが、数字だけ見るとかなり便利そうだな。けどこの辺、液状化はちょっと心配か。
また、「売却するのであっても、今風の内装リノベーションを施しつつ、時間をかけて売却すれば購入時の価格以上で売却できる可能性は高いでしょう」とも書いてあるが。購入時でも築35年の中古公団なんて、売却時の価値はババ抜きのババ並だろ。それに、「時間をかけて」って、どのぐらいよ? 売るにしても住みながら売るのか? 買い手からすると住居中よりは空家の方が買いやすいよな。勿論売り手にとっても、購入希望者が下見を希望した時どうする。中古住宅なんだから当然想定されるケースだが、お互い気まずいしやりにくいよな。数人ならともかく、売れるまでだと何人来るか分からんし。かといって、他のところに住みながらだと、中古公団のローンと賃貸の家賃をダブルで払わないとならなくなる。
しかも、「30年以上前に建てられた公団住宅の敷地は広大なことが多く、敷地内駐車場、公園などがあります。また、人口が多いため保育所や小学校、スーパーなども近くにあることが多いのです」などと、メリットを書き連ねている。敷地については同意するが、その後の利便性についてはどうだろ。そんな都合のいい物件が650万とかで売られるか? 古い団地だと住民の高齢化が進んだり空室が増えて、近隣のスーパーが潰れて買い物に苦労するって話もあるというのに。
少子高齢化・買い物難民・住宅余りとかは↓
・「買い物難民」をなくせ!」を読んだよ
・プロジェクト2030の予測に基づく住宅戦略 -超少子高齢社会への覚悟は決まってるかい?-
マイホーム買う前なら賃貸の方がいいんじゃね
そういった退去リスク考えると、中古公団買うぐらいなら同じスペックの古いUR借りた方がいいんじゃね。ちょっと計算してみると、Jさんの買った650万物件は、頭金50万+ローンが630万(年18万×35)。諸経費は物件価格の7%として約45万。取得総額は約725万。おかしいな。600万借りて返済額が630万って、やけに少なすぎねえか。
フラット35のローンシミュレーションで、「借入希望金額から返済額を計算」してみたら、「取扱金融機関の提供する金利で最も多い金利 1.750%」だと下記のような結果になった。
600万円を35年ローンで借りた場合の返済額
[table id=21 /]
Jさんは一般的でない金利で借りてるので、実際に買うかどうか比較する時は1.750%ぐらいで計算したほうがいいだろう。もしかすると、Jさんは東京スター銀行の預金連動型ローン(現在は受け付けてない)で借りたのかも。または、会社の福利厚生とかかもしれない。
話を戻して、中古公団とUR賃貸、どちらが得か比較してみる。中古公団の毎月の支払は、ローン1万5千と管理費等1万5千で3万円。URは家賃7万と4万の2パターン、管理費は5千円とする。初期費用は中古公団が頭金50万と諸経費45万の95万。URは家賃2ヶ月分。引越費用や家具代などは、どちらもかかるので無視する。実際の購入だと固定資産税もかかるけど、金額不明なのでこれも考慮しない。期間は5・10・15・20年の4パターンとする。
[table id=22 /]
この表を見ると、当面の支払額は初期費用95万かかっても、中古住宅購入したほうが月々の支払が抑えられるのが分かるだろう。特に、Jさんが購入前に調べたとされる家賃相場7万なら、ローン含めた総額でも10年超えると元がとれてしまう。ちなみに、家賃4万だと20年過ぎてから。
それにしても、管理費込み月4.5万でも、20年住めば1000万円以上かかるんだな。そのぐらいの費用がかかるなら、やっぱ中古公団買うのって得じゃね。そう思うかもしれないが、仮にこのまま住み続けるなら20年目だと築55年になってるんだぜ。そろそろ設備の老朽化や、建て替え問題も発生するだろう。
Jさんみたいに、マイホームの買い替えを準備してる人が、借りの住処にしてる場合はさらに厄介。築35年+住んだ年数の築古物件を売らなきゃならないんだから。前述したように、今風の内装にリノベーションして時間をかければ購入時の価格以上で売却できる可能性は高いと述べているけど。随分と楽観的過ぎるんじゃね。まずはリノベーション。当然費用がかかるので、その分を引かなきゃならない。また、どのぐらいの規模になるかは不明だが、2LDKの45平米で住んだまま作業できるのだろうか。新しい家を買って、そっちに引っ越して空家になってからならその点は問題ないだろうが。中古公団売れるまで、ローンと管理費・修繕積立金を払う必要があるんだぜ。時間をかけて売却って、長引けば長引くほどその費用がかさむんだけど。そういったリスクを踏まえて、「公団住宅は出口戦略をとりやすい」と書いてるのだろうか。
今回のまとめ
非正規で働いてる人や、私みたいな貧乏人ならともかく。正社員の平均年収ぐらい稼いでるなら、家を買わなければあんまりお金に困らないんじゃね。むしろ、3500万ぐらいの住宅を買おうとするから金に困るんだって。
最後の第6章が、ワンルームマンション売ってる業者みたいな胡散臭さを感じさせるのが難だが。それまでの章は、比較的まともな住宅購入の指南書にはなってると思う。内容的にはまともで無難なことが書いてあるので。同じような本をすでに持ってる人なら、読まなくてもいいかな。この本は基本的に、家を買うなら大家になれと言いたいんだと思う。ただ、大家業に興味があるか大家になりたいのなら、これじゃなく同じ筆者の別の大家本を読んだほうがいいだろう。
家を買う・大家になる、どちらにしても大金がかかる事は否めなので、貧民的にはいまいち参考にはならないかな。
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