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ベッコアメについて語るなら暗黒面にも触れなきゃね

ベッコアメ終了?

なんか、ベッコアメ新規受付を終了した事を、この件を紹介してベッコアメについて書かれてる記事を読んで知ったんだが。

新規申し込み受付を終了について

ベッコアメインターネットが生んだ日本のインターネット黎明期

ベッコアメは、日本で最初に定額制を打ち出した個人向けインターネットプロバイダーだったと記憶してるし。インターネット黎明期で、最も有名なサービスだったことは認めるが。ベッコアメについて語るなら、そういった過去の栄光だけじゃなく暗黒面についても触れないと片手落ちじゃねと思うの。

ベッコアメの悪評

上記記事が異常にベッコアメマンセーしてるので、まずはその記述に対するネガティブな意見を書いてみる。

それはただのチャリンカー

東芝のエンジニアだった尾崎憲一さんが、当時のアクセスプロバイダーの値段の高さに頭にきて、自分で使える金額をイメージして、サラ金から30万円を借金をして、インプレスの「インターネットマガジン」の創刊号(1994年09月)に広告を出稿した。

確か、年会費が2万ぐらいでその他に入会金が必要だったと記憶してる。1年契約だがつなぎ放題の定額制だから、従量制料金で天井知らずが主流だった時代なので、確かに格安の料金だったんだが。

年会費を集めてからスタートする事業だったので、広告を見たユーザーたちの年会費でサーバー設備などを買い足したという。今でいうところのクラウドファンディングだ。

「自転車操業」って、今では「クラウドファンディング」って言うんだ。言葉の定義はともかく、自転車操業でやってたからユーザーが増えるにつれ回線が混雑したので、テレホタイムにはつながらないという苦情があちこちの書き込みで見られたな。

中でも傑作だったのが、創業者の尾崎憲一氏がテレビに出てたのを見たユーザーの、「血色のいい顔してるけど、俺たちの金でいい物食ってるんだろうな」って書き込みかな。実際、何食ってたかは不明だが、尾崎氏はスーパーカーを買ってたぐらいは儲かってた。若い人に当時の尾崎社長の凄さを説明すると、ライブドア社長時代の背中に「妖艶童子」の看板しょってそうなイケイケだった頃の堀江貴文氏みたいな感じかな。もっとも、ホリエモン氏も今の若い人には、ネットやテレビの炎上芸人ぐらいにしか思われてないかもしれんが。

インターネットマガジン読んでHTML手打ちしたな

筆者は、ベッコアメではなく、NECのビッグローブになる前の「メッシュネット」というサービスを利用していた。しかしだ。官僚的なサービスはセキュリティを考えてか、すごいサイトの更新方法だった。

当時のホームページサービスについて、筆者が利用してた「メッシュネット」に比べてベッコアメが如何に素晴らしいかを述べてるが。おそらく筆者が利用してたのは、法人向けとかのホスティングサービスじゃね。

ベッコアメ含めた、当時から今でも続いてるプロバイダーのおまけホスティング機能の個人向けサービスで、そんな七面倒なのは聞いた記憶が無いし、コスト的に割にあわないだろう。どこもFTPでファイル送って、.htaccessファイル置いたり各社の流儀に従って設定するだけで公開されたはずで、大半の個人ユーザーが黒歴史になるぐらい、そんな手間暇かけてはいないんじゃね。

サーチエンジンのURLだけは仕方ないけど

当時、インターネットの情報を得るには、検索でググる訳にはいかなかった。ググるためには、まずは、ヤフーがネットスケープのサーバーにヤドカリする必要があり、大きくなったヤフーに検索エンジンとして、グーグルが採用されるまで待たねばならなかったのだ。

では、どうやって、人々は検索したのか?

それはインターネット雑誌を購買してURLを直打ちするのだった…。

ネットの情報得るのに、インターネットマガジンとかの雑誌が有用だったのは認める。まあ、当時のインターネット関連雑誌の情報って言っても、技術情報とかじゃないコンテンツ関連といえば、ホームページの紹介とリンクがある程度だけどね。

もっとも、ベッコアメの時代なら、Yahoo!はまだディレクトリサービスしかないし、Googleもサービス開始してなかったと記憶してるが。ロボット型のサーチエンジン(ODIN・千里眼・AltaVistaとか)自体は存在してたので、ググれなくても普通に検索はできた。そうじゃなければ、インターネットマガジンのライターはどうやって情報探してたんだっての。まさか、ネットの情報探すのに足で取材したり電話で聞いて回る、日本インターネットの黒歴史とか言わないよな。

余談だが、たまにこのブログで名前の出るクローン黒沢氏を初めて知ったのが、当時のインターネット関連書籍の「さわやかインターネット」だったりする。インターネットのまともな知識を得るにはまったく役に立たないが、その後「シックスサマナ」をKindleオーナーライブラリで全巻読むぐらいには氏の名前を覚えていた、個人的には曰くの一冊。

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ちなみにこの本のネタばらしがシックスサマナのページに書いてあるが、読んで納得。

さわやかインターネット ネットの達人 >> シックスサマナ

さらに余談だが、シックスサマナのバックナンバーのどれかにはミスターPBX氏の正体が書いてあるんだが、こっちはかなり驚いた。

シックスサマナ 第24号 幻の動物王国 追悼 本多忠祇

疼くんだよぅ…

そんななかでベッコアメはネットユーザーに愛されてきた。しかし、大手のNECやニフティの参入、外資のAOLなどによって、日本のインターネット黎明期のブランドとして深く記憶の中で生き続けるブランドとなった。

話をベッコアメに戻すが、確かにベッコアメのブランド名はいまだに残ってるし。尾崎氏の偉業については賞賛されてしかるべきだろう。だが、愛されただけじゃない。前述したように、サービス開始初期は今風に言うなら「祭り」「炎上」状態で、尾崎氏はメシウマだったかもしれないがユーザーはマサトに対する武丸さん並にキレてた。

ベッコアメが一番有名になった事件

ベッコアメはインターネットプロバイダーとしては、いい意味でも悪い意味でも有名なサービスだったけど。一般人にまでベッコアメの名前を知らしめたのはぶっちゃけ、ベッコアメのユーザーがウェブで猥褻画像公開して逮捕された事件だろうな。

弁護士紀藤正樹のLINC/インターネット犯罪の系譜

なんせ、日本のプロバイダーとしては初めて警察に強制捜査されてサーバーが押収されたんだから。後にベッコアメ事件と呼ばれるようになったこの事件は、前に書いたFLMASK事件と共に摘発されたインターネット猥褻犯罪の走りだよな。

FLMASK事件については↓
ニフティと聞くとプロバイダじゃなくパソコン通信と言っても、若いもんには通じんな

尾崎憲一

最後に、ベッコアメ創業した尾崎氏について。一時は一文無しにまで落ちたらしいが、そこから這い上がって、現在は年商5億円の実業家で悠々自適に暮らしてるみたいだな。

ベッコアメ創業者「一文無しの時、1億超のマンション買った」

究極の接待は手料理でのおもてなし「食べ物で距離は確実に縮む」

また、尾崎氏の全盛期については、クルマ遍歴を見ると分かるかも。

dumbonet systems|ダンボネット・システムズ株式会社|会社概要

そう言えば、尾崎氏がベッコアメ事件の顛末とか含めた本も出してたな。古本屋で200円ぐらいで買って読んだんだけど。

ベッコアメの奇跡―インターネツトの風雲児

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内容は、舛添要一氏ほどじゃないにしろ自分可愛さの自己弁護と、自分大好き僕ってすごいよね満載って感じの薄っぺらさで、読んでて身につく物が一切なかった気がする。ブックオフで100円で売ってるなら、今回のベッコアメのニュースを聞いて「心がキュン」となったのなら買ってもいいんじゃね。

今回の感想

なんだかんだ書いたけど、日本のインターネットプロバイダー史において、ベッコアメが果たした役割が非常に大きかったことは確かだな。事実、その後雨後の竹の子の如く業者が参入乱立して、最終的にはベッコアメ同様のフラットな定額サービスが主流になったからな。ダイアルアップ時代のインターネット業界に革命を起こした、尾崎氏の先見性と行動力は認めざるを得まい。

そんな訳で、おっさんホイホイ記事にまんまと引っかかってこんな長文書いてしまったよ。


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