共済だけじゃダメ!?
なんか、『「共済に入っているから保険や資産運用は必要ない」の落とし穴』という記事を読んだんだが。確かに、共済に入ってれば民間の保険は必要ないというのは聞くけど、後者は始めて聞いたな。これは一般的な見解なんだろうか。
共済vs民間の生命保険
記事の内容は、結婚して子供がいる旦那あたりを想定してると思われるので、細かい検証はしないけど。ここでいう「保険」は主に生命保険の事らしい。そこで、具体的な例を出してない民間の生命保険の比較対象に、某県民共済の総合保障4型を上げて共済のデメリットを説明してる。
死んだら葬式代しか出ない?
共済の保障内容が、掛け金4000円で60歳までの死亡・重度障害の保障が、交通事故2000万円・それ以外の不慮の事故1400万円・病気720万円。ただ、65歳までの死亡原因はほとんど病気だから、実際に受け取る保険金は「死亡したときに受け取る共済金は、多くの場合720万円と考えられます」と書いてる。
それはともかく、その後で、「※ 2型(月掛金2,000円)の場合360万円」と、なぜか前述した例より掛け金の低いタイプの共済金を書いて、「360万円ですと葬式費用関連でなくなりますし、720万円ですとそれプラス、故人の残債の整理などで消えてしまうかもしれません」としている。
葬儀に360万円かかる点は無視するとして、文脈と関係ない保障内容が半分の共済の例を唐突に出してくるのは疑問。720万円でも「故人の残債の整理」という例を上げてるが。720万円-葬式代でまかなえないような借金とかなら、相続放棄すればいいんじゃね。
死んだら家族は暮らせない?
また、家族持ちの場合は数百万円では「残された家族の生活保障の足しにもなりません」と書いてるが、これは正論。子供が学校を卒業するまで苦労をかけたくないなら、それなりの保障がある生命保険に入るべきであろう。
記事も金のかかる時期については、「収入保障保険または通常の定期保険にて、特定の期間だけ手厚く備えておく必要があります」と適切な記述をしている。だったら共済の例も、定期型の生命保険+医療保険にすべきじゃね。
共済を選択するなら資産運用は必須?
共済の場合、85歳で制度加入満了になるので、その後は共済されなくなる事を指摘してる。その解決策としてあげているのは、「60~65歳までにしっかりと資産運用して財産形成を行い、65歳以降は共済のお世話にならなくてもよいようにしたいものです」という、資産運用のすすめ。別に民間の保険に入ってようと、十分な年金受給額がなければ老後資金は必要になるんだから、これは共済の問題だけじゃないと思うが。
85歳以降で病気にかかった場合、共済の医療保障がなくなる点については。仮にそこまで生き延びたなら、年齢的に病院に行くことは多くなるだろうから、保険のお世話になる可能性は高くなる。平均寿命以上に生きた後の医療費が心配なら、記事の通り一生保障する保険に入るしかないか。何十年後も先だと、中には潰れる保険会社とかも出てきそうだから、商品の選択は慎重にしないとならんな。
共済を選択するなら民間保険は必須?
また、「若い内に生命保険・医療保険に加入するほうが、共済とさほど変わらぬ保険料で一生涯保障される可能性があります」と、共済に対する民間の保険の優位性を上げている。これも多分正しい。生命保険には縁がないので、医療保険についてのみの見解だが。20代で掛け捨ての一生涯保障されるタイプに加入すれば、保障内容にもよるが、月々の掛け金は2000円未満で済む。
例えば、アフラックの「ちゃんと応える医療保険EVER」だと、男性25歳で入院給付金が5000円・60日型の場合、通院なしのプランで1340円。120日でも1460円と、全労済の医療タイプの1600円より安く(割戻金がない場合)なる。
しかし、これが30歳だと1510円・1655円、35歳で1725円・1895円、40歳となると2005円・2215円になる。そういった意味では、医療保険に加入するなら若いうちに入った方が月々の保険料は安くはなる。もっとも、保険料を払う期間は長くなるから、トータルで支払う金額はそんなに変わらないが。ちなみに、上述したアフラックだと、若いほど支払い総額が若干高くなってる。
結局どうすればいいの?
この記事のまとめでは保険・共済・資金運用について、「基本を確保する保険」「追加オプションの共済」「万能である現金資産形成」のどれかに偏ることなくバランスを取るように勧めてるようだが。文中では「万能である現金資産形成」については具体的に触れてないが。個人的には高額な保険料を払うぐらいなら、適当な保障内容で保険料を抑えてその分を貯蓄に回すのが、資産形成の近道だと思うが。
それに、何千万円の生命保険が必要になるのは、結婚して子供が出来て学校を卒業するまでの一時期に過ぎないので。記事で例に出してるような、総合保障4型は無駄が多い。これは都民共済だと、生命保険相当の他に、入院時1日当たり事故10000円・病気9000円の医療保障相当とかも付いているが。
前述したように、死亡保障は一生涯必要な保障ではないので、医療保険は生涯保障にしても、生命保険は終身ではなく期間を定めて別の商品を契約した方がよかろう。都民共済では生命保険のみのタイプが見つからなかったので、全労済を例にするが。新せいめい共済の定期生命プラン総合タイプだと、30歳(1985/1/1生まれ)の男性で普通の職業の場合、契約期間10年の病気等死亡共済金2000万円・満期金なしプランだと、月の掛金は4950円になる。
とはいえ10年は短いので、40歳からもう10年契約するとなると掛け金は7350円に上がる。参考までに50歳から10年だと14550円。もっとも、子供の年齢が上がればそれだけ必要な金額は少なくなってくるから。契約更新するごとに、保障内容を低くすればそれだけ掛金も抑えられる。
民間の生命保険だと、アフラックには料金シミュレーターがなかったのでライフネット生命を例にしてみる。定期死亡保険かぞくへの保険で、30歳男性の保険金額2000万円で10年契約だと、月額保険料は2210円とずいぶん安いな。さっきの全労済は最長10年しかなかったが、ライフネットだと20年・30年も選べるが、保険料は3072円・4566円と上がる。ちなみに、40歳で10年だと4498円、50歳で10年だと10536円になるので、30年間契約するなら10年ずつ更新するより、若いうちに30年で契約した方が総支払額は安くなる。
どっちにしても医療保険と生命保険を組み合わせると、例に出した某県民共済の総合保障4型よりは高くなるが。これは記事で説明してる通り、死亡する可能性が高い病気で亡くなった時の保障額を低くしてたり、共済金の支払いが多くなる高齢者の保障を引き下げてることで、安い保険料でも割に合うんだな。それにしても、生命保険に関しては共済よりライフネット方が圧倒的に安くなったのは意外だった。詳しい保障内容までチェックしてないので、実際どちらがいいのかは分からんが。
今回の感想
そんな訳で、今回の記事は書いてることは妥当だが、契約者にあまりメリットのない共済の商品を例に挙げてるのが気になる。
個人的には、サラリーマンなら会社の保険に入っていれば傷病手当金があるので、医療保険は入らないか最低限のに入るぐらいでいいと思うが。自営業とかで国保の人や、リーマンでも給料と傷病手当金の差額分を埋めたいなら入った方がいいかな。
若い人は病気になる確率が低いから、医療保険はかけ損になる可能性は高いけど。それでも若くて健康なうちに入った方がいい消極的な理由としては、保険料は生命保険料控除の対象になるから税制面で有利なこと。積極的な理由の方は、将来保険に入ろうと思った時に、大病を患っていると保険に入れなかったり、保険料が高くなる恐れがあるから。
まあ、保険入る前に病気になるリスクは生命保険にもあるけど。こっちは長期間の契約になると、医療保険より保険料が高いからな。長い人生で何があるか分からないのに、若いうちから終身型の生命保険に入るのは、流石に心配しすぎじゃね。
結論としては、保険の保障内容は大事だが。家計に負担と感じるほど高い保険料を払うのはあまり得策とは思えないので。とりあえず、保険料が割安なうちに医療保険だけ入っとけば、だいたいのリスクには備えられるんじゃね。
中高年で医療保険入りたいけど、保険料が高くて躊躇してるなら、年齢に寄らず掛金が一定の共済系しか選択の余地はないかな。私が入ってる全労済のこくみん共済医療タイプだと、59歳まで一律1600円の掛金で、入院日額6000円・180日の保障がある。ただ、手術一時金は女性特有の病気しかないし。60歳・65歳以上になって移行タイプに更新すると、掛金は変わらないのに保障内容が下がるし。さらに、70歳で契約満了するから、某県民共済の総合保障4型以下だけどね。貧民的にはこのぐらいで十分だと思ってるが、人によっては許容範囲外かもしれんな。
生命保険は、結婚して子供が出来る前に大きな病気になったらご愁傷様って事で仕方ないから。若い頃から生命保険に入って備えるよりは、スポーツジムに通うとかした方が有意義だと思うよ。さらに、公共のスポーツ施設を利用すればお金もそんなかからないので、浮いた分は貯金に回せるな。
家から遠いので挫折したけど、昔書いた公共スポーツ施設の記事は↓
お金をあんまりかけなくてもスポーツジムに通うぐらいのトレーニングは出来るんです -お住まいの地域にもよるけどね-
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