以前の記事に書いたけど、一定条件を満たしたNPOとかに寄付をすると、税額が控除される制度がある。どうせ寄付をするなら、その寄附金控除の対象になる所にした方がいいよな。かといって、控除不可な日本テレビの24時間テレビとかには寄付しない方がいい、と言うつもりはない。個人的には日テレの24時間テレビは見る気も寄付する気もないし。24時間テレビのやり方には色々含むところもあるが、ある程度の金額の寄付金を集めて、全額寄付に回してる点は評価してもいいと思う。
・24時間テレビの高額ギャラが話題になってるらしいが
・そろそろ日本テレビの24時間テレビ愛は地球を救うの季節ですね -心のこもった1円とこもってない1万円、くれるとしたらどっちを選ぶ?-
というのも、募金とかで集めた寄付金は、必ずしも全額寄付に回されるとは限らないのだ。例えば日本ユニセフ協会の場合、募金で集めた寄付金161億1円のうち130億円をユニセフ本部に渡してる。残りの30億ぐらいは何に使ってるかというと、日本ユニセフ協会の活動資金に当てている。
日本ユニセフ協会 2012年度収支報告概要 | 日本ユニセフ協会
ユニセフ本部は、世界で行っている活動を、より多くの人たちに知っていただき、支援者を増やすため、情報提供や支援の継続のお願い、および各国内でのアドボカシー(政策提言)活動などを、世界36の先進国・地域にある各ユニセフ協会(国内委員会)に委託しています。その費用はみなさまからお預かりした募金の最大25%までの範囲内でまかなうよう要請しています。日本ユニセフ協会は、2012年度、ユニセフ募金収入の19%をこうした国内の活動費用に充てさせていただき、世界の子どもたちへ安定的に支援を届けるためのさまざまな募金活動、子どもの権利に関わる啓発活動、アドボカシー活動、国際協力に携わる人材を育てる研修事業、全国25の協定地域組織によるユニセフ支援活動の推進・強化などを行いました。
活動費用の詳細については上記ページの、一般会計の解説の支出の部のグラフの下に小さく書いてある、「正味財産増減計算書」のリンク先PDFファイルに載っている。とりあえず人件費に絞ってピックアップしてみた。会計とか詳しくないので、勘違いしてるとこもあるかもしれないので、その辺はご容赦ください。
日本ユニセフ協会の寄付金に占める人件費
約162億円の事業費から主に人件費についてチェックしてみる。まずは一般会計から。
なお、数字の単位は円です。本文中の金額は概算です。
国際協力研修事業費
役員報酬 141,794
給料手当 2,463,928
福利厚生費 412,867
退職給付費用 165,520
賞与引当金繰入額 40,337
総支出1200万で、他の事業と比べて人件費が少ない。人少ないのか。支出のうち、700万以上を海外インターン派遣費に当てている。
啓発宣伝事業費
役員報酬 3,051,056
給料手当 52,754,670
福利厚生費 8,641,069
退職給付費用 3,323,124
賞与引当金繰入額 916,607
総支出4億1500万。役員報酬は300万だが、給料に5300万ぐらいかかってる。ここの支出の半分以上は広告費に費やしている。
啓発宣伝地域普及事業費
役員報酬 282,068
給料手当 5,035,353
福利厚生費 819,942
退職給付費用 331,039
賞与引当金繰入額 79,343
総支出8500万。啓発宣伝に比べると、人件費は大分少ない。なお、ここは支出の大半(7500万)を、地方普及費が占めている。いったい何の費用なんだ。
募金活動事業費
役員報酬 12,211,170
給料手当 209,802,690
福利厚生費 35,002,991
退職給付費用 15,188,882
賞与引当金繰入額 3,239,503
総支出16億7000万。役員報酬が1200万で、給料に2億1000万ぐらい。この他に業務委託費で8億5300万の支出がある。これって、外注使ってまで募金集めてるって事か。
グリーティングカード募金事業費
役員報酬 2,317,310
給料手当 45,787,106
福利厚生費 6,746,607
退職給付費用 2,966,620
賞与引当金繰入額 673,421
総支出3億1700万。役員232万、給料4600万ぐらいか。ここも業務委託費が、1億1200万と多い。他に広告宣伝費に9700万かけてる。
管理費
役員報酬 424,940
給料手当 3,175,745
福利厚生費 392,588
退職給付費用 159,154
賞与引当金繰入額 56,569
こちらは法人会計。総支出1600万ぐらい。人件費はあまりかかってないな。一番多いのは支払い手数料の、756万。それと雑費が270万ある。
日本ユニセフ協会の職員・役員っていくらもらえるの?
トータルの費用が分かっても、具体的なイメージが沸かない。ぶっちゃけ、日本ユニセフ協会の職員や役員っていくらもらってんだ。というわけで計算してみた。数字は、1円未満切捨て。各事業部の合計金額は下記画像を参照してください。
まずは職員から。職員数は組織図によると66名。
単純に給料を職員数で割ると、319019492÷66=4833628
賞与引当金、5005780÷66=75845
退職給付費用、22134339÷66=335368
福利厚生費、52016064÷66=788122
職員の一人当たりの年収は給料483万+ボーナス7.5万。退職金が33万ぐらい。退職金は勤続年数によるからなんともいえんが。ボーナスはずいぶんと控えめだな。もしかすると、職員全員がもらえる待遇ではないのかもしれん。
ただ、福利厚生費がやけに多い気がする。年収483万は月収換算だと40万ぐらい。なのに、一人当たりの福利厚生が79万弱と、給料2ヶ月分もある。一般的な企業と比較したわけではないので、世間的にどうなのかは分からんけど。その福利厚生費も含めれば、トータルで6032964円。退職金引いて年収570万ってとこかな。これが多いのか少ないのかは、仕事内容含めて考えないと判断出来ないが。
続いて役員。役員名簿によると、役員数は合計18名。
単純に役員報酬を合計で割ると、18428338÷18=1151771
ただ、下記リンクによると、役員は一部を除いてボランティアとの事。
常勤の専務理事及び特別に業務を執行するため常勤に準ずる役員を除き、会長以下役員は、全員ボランティアとして協力しています
なので常勤及び常勤に準ずる2名なら、18428338÷2=9214169
役員一人当たりだと、最高でも920万ぐらい。社員の1.5から2倍未満ってとこかな。トヨタや日産に比べたらたいした事ないなって、比較対象が悪いか。手元に資料のあるタカラトミーだと、取締役10名で、2億2900万円だから、一人当たり2290万円。社外取締役1名は900万円。一部上場企業の役員でこのぐらいだから、まあこんなもんか。
寄付するならどこにすればいいの
で、もし寄付をしたい場合、いったいどこにすればいいのか。寄付金控除が目的なら、対象となる団体で好きなところを選べばいいんじゃないかな。寄付した金額をピンはねされたくないなら、24時間テレビでも、ユニセフ(日本ユニセフ協会じゃない)親善大使の黒柳徹子のとことか。この二つだと、寄附金控除は受けられないけどね。黒柳さんとこは、ユニセフに全額送るってことだから。日本ユニセフ協会同様、募金しても日本には使われないだろうな。
なお、今回の記事については、日本ユニセフ協会についてどうこう言うつもりはない。寄付金が全額寄付されずに、運営費に使われる事もめずらしくないし。国から補助を受けてる団体ならともかく、日本ユニセフ協会とかの民間団体なら、自前で活動資金を用意する必要があるだろうし。
黒柳さんとこの募金は、1984年からの累計が、4,957,337,393円(2013年8月15日現在)。だいたい、28.5年とすれば、年間1億7500万ぐらい。芸能人とはいえ、個人でこれだけ集めるのはすごいと思う。けど、今年の24時間テレビは放送日の20時時点で、4億3605万4731円の募金総額になった。日本ユニセフ協会にいたっては、前述したように2012年はユニセフに130億円拠出してる。
やり方に異論はあるだろうが、商業主義の募金活動でも1日で4億以上集めた日テレ。募金額の81%でも、130億円は寄付に回してる日本ユニセフ協会。これをどう判断するかは、募金者次第。まあ、私は寄付できるほど余裕のある身分ではないので。今は、いつかそういう日が来る時のために、情報を集めるにとどめておく。
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