クロ現+
なんか、クロ現+で有名建築家が設計した建物が老朽化して始末に困ってるみたいな放送を見たんだけど。
具体的な建築物で取り上げられた一つが中銀カプセルタワービルなんだけど、これについてちょっと補足してみる。
中銀カプセルタワービル
番組内での説明通り、中銀カプセルタワービルは故黒川紀章氏設計の集合住宅だが。デザインの奇抜さばかりを強調して、部屋を「まるごと組み替えられる設計」については軽く触れただけだったけど。理論的にはメタボリズムのコンセプト通りに、老朽化した部屋を取り替えれば問題解決する点を説明しないから、出演者とかが建築家のオナニーには困ったもんだwみたいなコメントしかできなかったんじゃね。
まあ、1972年建築だから共用部とかにもガタがきてるだろうから、中のカプセルだけ交換しても根治的な解決にはならないのかもしれんが。
t2
以前の記事で紹介した、アルミ製ミニマル居住ユニットのt2も、メタボリズムを参考にしてるけど。なんか、黒川氏と中銀カプセルタワービルをディスってるような気がするのは気のせいか。
アルミ製タイニーハウス t2 | ミニマル居住ユニットのecoms
1960年代、この理念を基に新陳代謝を繰り返す建築「メタボリズム」が提唱されました。しかし当時は、技術が理念に追いつきませんでした。あれから50年、技術の発達により、真のメタボリズム建築が誕生したのです。
前は気づかなかったけど、t2のコンペでも「中銀カプセルの更新」って案が佳作に選ばれてたんだな。
もっとも、アイデア通りに実行出来るとしても、居住者でt2とのカプセル交換に応じたい人は少数派だと思う。ぶっちゃけ、中銀カプセルタワービルに住んでる人は、どんなに不便でも黒川紀章設計のクールな部屋だからいいんであって。新しく快適であっても、どこの馬の骨が作ったか分からない工業製品みたいな部屋に住むぐらいなら、普通のマンション借りるか買うかしてるんじゃね。
建て替えか、カプセル交換含めた補修に応じる可能性があるのは、黒川紀章並のネームバリューをもった建築家がイカレたデザインにするか、カプセル内がドラえもんの未来みたいな近未来空間になるぐらいじゃないとダメだろ。
中銀カプセルタワービル内部
話が前後するが、クロ現+で中銀カプセルタワービルの室内の様子が映っていたけど。最初にツアーとかで大勢が訪れていた部屋は、おそらく実際に住んでる人の部屋で内部のインテリアとかも当時の面影のあるコンディションのかなりいい物件だと思う。
その後、当時の最新設備と紹介された部屋については窓からの景色で分かる通り、あれは現在の中銀カプセルタワービルではない。おそらく、埼玉県立近代美術館に寄贈されたモデルルームだろう。
次に出た、最近の購入者の部屋はかなりリフォームして、当時の設備が余り残ってなさそうだったな。最後の廃墟みたいなのは、人が住んでなくてボロ屋敷化したっぽいな。なんか部屋の8割は使われてないって話だし。
部屋以外にも問題があって、カプセル固定する部分も劣化して部屋ごと落下しかねないとかも言ってたな。ここまでいくと黒川氏が生きてたとしても、もう一回設計して建て替えてもらわない限りどうにもなりそうにないな。
今回の感想
中銀カプセルタワービルは、カプセル交換による老朽化対策が可能だけど行われてないだけで、建築家のオナニーだけじゃないと思う。共用部の老朽化については、築44年ぐらいの建物ならメンテしてなきゃ仕方ないんじゃね。そんな訳で、中銀カプセルタワービルに関しては、黒川紀章氏の設計よりマンション管理の失敗の方が大きいんじゃね。よく、マンションは管理を買えって言うし。
以下余談。昔、中古ワンルームマンションを調べてた時、600万ぐらいで中銀カプセルタワービルの物件が売りに出てたんだけど。その時に初めて知って、かなり興味を持って調べたんだけど。築年数・修繕の難易度・借地・建替問題とか出てくるうちに、これは素人が手を出していいもんじゃないと悟って諦めたが。その後すぐ売れっちゃたらしく、情報見れなくなったけど。
さらに余談。前に、BookLiveから全品半額クーポンが届いたんで、「ナンバーガール」の3巻を買ったんだけど。この作品に出てる寮の外見が中銀カプセルタワービルっぽいと、3巻になってようやく気づいた。
ちなみに、3巻だと9ページに寮が出てくるけど、BookLiveのサンプルは8ページで終わってるんだよな。
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