佐賀県では、来年度から入学する県立高校の生徒に、Windows 8タブレット端末を強制的に購入させるらしい。自己負担額5万円で。実際の価格が5万円を超える分は県が補助するんだが、これって税金だよな。
なんでタブレットみたいに、1年ぐらいで新機種にリプレースされる製品を買わせるのか。リースでいいんじゃねえの。そっちの方が高くつくなら仕方ないけど。
タブレット5万って高くね
続いてニュース記事に書かれてる、気になる点に突っ込んでみる。
県教育委員会は3日、来年度から全県立高校の1年生が購入するタブレット端末の自己負担額は一律5万円になると明らかにした。現時点で端末価格は未定だが、5万円を超えるのは確実で、超過分は県が補助する。各家庭の経済状況に配慮した補助制度は創設しない。
ICT(情報通信技術)を進める県教委はタブレット端末を「標準教材」と位置づけており、来春の県立高入学生全員が購入する必要がある。
県教育情報化推進室によると、端末の基本ソフトはウィンドウズ8に決まっているものの、ハードのメーカーや導入するデジタル教材、最終価格は入札で決定する。ただ、「5万円を下回ることはない」(同推進室)ことから、生徒の自己負担額を5万円に設定した。
県は9月10日開会の県議会に補助費として約2億円を計上した。分割払いができるかどうかは「検討中」という。
同推進室は「端末は教科書と同様、全員に購入してもらう。家庭によってさまざまな事情があると思うが、奨学金など既存の制度を活用してほしい。端末価格は変動するため、補助の在り方は随時考えていく」としている。
端末購入費の生徒負担をめぐっては、県高教組が8月、経済的困窮家庭や定時制は無償にするよう要望していた。
最低5万円かかるから自己負担は5万円。これが妥当かどうかはとりあえず置いとくが、5万円ってのは3年間の価格なのか。ハードは1回だろうが、デジタル教材は毎年買わないといけないのか。この辺が不明なので、とりあえず3年間で5万円とする。1年間なら1万6667円。1ヶ月あたりだと1389円ぐらい。このぐらいの負担なら許容範囲ではないか。実際の、ハードスペックと保証内容を加味しないと断定はできないけど。問題なのは補助制度がないのと、分割払いが検討中な点。
気になるのは、「端末は教科書と同様、全員に購入してもらう」という発言。これって、デジタル教材以外にも紙の教科書が必要ってことなのか。てっきり、教科書もPDF化して、デジタル教材に含まれてるかと思ってたよ。そうじゃないなら、佐賀県の教育委員会って使えなさすぎじゃね。まあ、制度とか法律的に、教科書をデジタル化してタブレットに入れるのに、なんらかの障壁があるのかもしれないけど。物理的には、1冊裁断してスキャンすれば済むけど。さらに、最近では裁断しなくてもスキャンできる富士通 ScanSnap SV600 FI-SV600みたいな製品も出てるし。余談だが、これ知ってからちょっと自炊に興味出てきた。普通のより画質劣るし、本を押さえてる指を画像処理するのが面倒そうなのが難点だが。
それと上でちょっと触れたが、タブレットの保証がどうなってるのかが気になる。標準教材って事は、これないと授業に支障をきたすような代物なんだよな。だったら、故障とかしたらどうするんだろ。修理終わるまで、リアル教科書みたいに、隣の子に見せてもらうのか。県で無理やり買わしてるんだから、高校経由で修理依頼して、その間は代替機貸し出しぐらいのサポートはして欲しいとこ。予め県で予備機を確保してれば、実現は難しくないだろう。けど、保管コストや人件費を考えると、メーカー丸投げした方が安いのかな。
それと、保証期間や保守契約がどうなっているのか。高校3年間使うんだから、3年あれば問題ないが、2年目以降有償だったら。また、保証期間内でも画面割れ・水漏れやバッテリー消耗時の対応はどうなっているのか。自然故障以外もカバーする保証ならいいけど、当然その分の費用は上乗せされるよな。それ含めての5万円なのか。最悪のケースは、通常保証1年で落下とかの保証がない場合。購入後1週間で机から落としたり、通学中に満員電車で圧されて画面が割れたりしたら、かなりの修理金額を払う事になるかもしれない。また、3年も使うなら、当然バッテリーの消耗が考えられる。せめて、バッテリーが取り外せれば、自分で交換できるけど。内蔵型ならメーカー送り。
来年度の佐賀県立高校の全入学生(約6800人)が購入するタブレット端末の自己負担が一律5万円になることが、インターネット上で話題になっている。5万円を超える分は県が補助するものの、負担額の多さや全員購入が必須となっていることに対する疑問が目立つ。県教育情報化推進室は「デジタル教材を含めた価格。アカデミックモデルとして割引されており、一般の市場価格より安価になっている」と説明する。
来年度から県立高の「標準教材」として導入するのは、基本ソフト「ウィンドウズ8Pro(プロ)」のタブレット端末。ハード機器のメーカーやインストールするデジタル教材、価格は入札で決定するが、5万円を超えるのは確実とみられる。
短文投稿サイト「ツイッター」などでは「なぜ、5万円以上もするのか」「家庭によっては、この負担は厳しい」などの書き込みが相次いだ。同推進室にも「高いのではないか」という問い合わせが数件寄せられた。
同推進室は「ハードだけでなく、デジタル教材を含めた価格」と説明。県内の実証校では、iPadとウィンドウズ8端末を試験導入したが、ウィンドウズ8端末の導入費用は1台当たり8万円程度で、iPadの価格を下回ったという。生徒の負担については「高校教育で必要な教材として理解してもらうように努力する」としている。
端末購入費の生徒負担をめぐり、8月に経済的困窮家庭や定時制は無償にするよう要望していた県高教組は、9月中にもあらためて負担軽減を要望する方針。県PTA連合会は「5万円の負担は小さくない。最近明らかになったばかりなので、知らない保護者もいると思う。情報を整理して対応を検討したい」としている。
次の記事。流石に5万は高くねって、突っ込み多数だったのか、またニュースになってた。
まず、5万円という金額が妥当かどうかについて。導入予定なのは「ウィンドウズ8Pro(プロ)」のタブレット端末。「デジタル教材を含めた価格。アカデミックモデルとして割引されており、一般の市場価格より安価になっている」と県教育情報化推進室は主張してる。確かに、Windows 8 Proのタブレットだと結構なお値段するからな。OSがWindows RTのMicrosoftのSurface RTでも、通常だと39800円からだし。Windows 8 Proいらなければ、今なら19800円からなんだけどね。
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続いて日本経済新聞の記事。
佐賀県教育委員会は、2014年4月から全県立高校の新入生約7000人を対象に、1人1台Windows 8搭載タブレットを導入すると決定した。これまでiPadとWindows 8タブレットの双方で検証してきたが、2014年度はWindows 8タブレットを採用することにした。
当初の計画では、2013年度に36の県立高校全てでタブレットの活用を始める予定だったが、Windows 8タブレットとiPadのどちらを選定すべきかという検証が間に合わず、2014年度に持ち越した。2013年度は、5つの実証研究校を2校と3校に分け、Windows 8のタブレット520台とiPad520台をそれぞれ導入し、検証を続けてきた。
その結果、2014年度はWindows 8 Proのタブレットを導入することに決めた。「先生方は普段からWindowsを使っていることもあり、例えば1時間目の授業で使った教材を3時間目までに作り直すといった場合に、即座に対応できるWindowsタブレットの方が使いやすいとの声が上がった。iPadはビューワーとして優れているが、編集・加工までiPadだけでやろうとすると難しい」(教育情報化推進室の福田孝義室長)といった点などが選定の理由として挙げられるという。
具体的にどの製品にするかは未定。製品の購入費用は各家庭が負担する。経済的な負担が難しい家庭には、支援策を検討する。
なお、Windows 8タブレットの選択は2014年度に関する決定であり、「利用する中で新たな課題が発生すれば、翌年度以降は再検討する」(福田室長)としている。
Windows 8 Proタブレット導入の経緯について書いてある。「例えば1時間目の授業で使った教材を3時間目までに作り直すといった場合に、即座に対応できるWindowsタブレットの方が使いやすい」という事は、出来合いの教材をそのまま使うだけでなく、教師が改良するような使い方も想定してるようだ。しかし、これってそんなに頻繁にやるような事なのか。教育熱心な先生は別として、それ以外がここまでするとも思えんけど。
逆に言えば、教科書や市販の教材や、今まで紙で配布してたようなプリントを電子化するだけの用途なら、こんな高いタブレット端末じゃなくても良かったんじゃね。それに、編集・加工がWindowsの方が使いやすくてiPadが難しいって、タブレットで編集・加工してんのか。そんなのPCでやれば済むことじゃん。タブレットじゃないと教材に変更加えられないとかの事情なら、そんな潰しのきかない仕様を採用した担当者が無能なだけ。
個人的には好きじゃないけど、PDFとかの汎用性の高いフォーマットなら、ビューワーをWindows 8 Proタブレットにする必要性はなくなる。そこまで割り切れるなら、Kindle PWみたいな電子ペーパーも悪くないな。現状だと、モノクロだからカラー前提のテキストだと実用に耐えない点と、画面の狭さがネックだが。もういっそ、ニンテンドーDSみたいに、2画面で折りたためる端末作っちゃえよ。
閑話休題。単なるビューワーなら前述した、マイクロソフトの教育期間向けプログラムを使って、Surface RTが19800円ってのも候補に入る。別に、Android端末でもいいと思うけど、紙の書籍がわりに使うにはある程度の画面の広さは必要になるからな。このクラスだとあんまり安価な製品はないし。それと、教育機関向けにサポートできるかってのも重要。そうなると、MicroSoft・Appleに絞られるかな。GoogleとAmazonも、本気で日本の教育市場に乗り込んでくるなら選択肢になりそうだけど、来ないだろうな。
でも、もしAmazonがKindle Fire HD 8.9ベースのアカデミックモデルとか売り出したら面白そう。3000円引きの21800円は9/8日曜までだけど、通常価格でも24800円だからな。教育機関向けに割引して売り出したら、結構インパクトあるだろう。保護者には「参考書から日用品まで何でも揃いますよ」とか、アピールして。将来的には、Kindleストアで赤本とかもラインナップに加えたりすれば、かなり需要あるんじゃね。Amazon的にも、将来のお得意さんを開拓することに繋がるから、メリット大ありだと思うよ。
まあ、Amazonに情報を握られるってマイナス面もあるし。学校教育にAmazonみたいな民間サービスの参入に抵抗のある人もいるだろう。TSUTAYAが公共図書館の運営をするみたいなものか。そいや佐賀県武雄市だったな、ツタヤ図書館。
結論
とりあえずまとめると、タブレット+教材が3年間で5万円とするなら、高すぎるという事はないんじゃないかな。導入前にタブレットの検証してた教師の使い方と、それを受けて無駄に高い端末を導入する事にした佐賀県教育委員会の判断は、大いに問題があると思うけど。
佐賀県も最初から色々やろうと考えないで、シンプルに教材のペーパーレス化だけに絞ればいいのにね。タブレットの購入を必須にするにしても強制購入でなく、必要・推奨スペックだけ公開して後は自由に選ばせるとか。
そういえば私の通ってた大学も、無理やりノートパソコンを買わされた学部もあったな。しかも、圧倒的にシェアの低い規格で、店頭価格と大差ないような値段で。どう考えても、学校側にリベート入ってたよな。
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