Archive for the ‘読書’ Category

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ファミコン芸人フジタ

そんな訳で、10月のKindleオーナーライブラリーで選んだ「懐かしファミコン パーフェクトガイド」を読んだんだが。事前に見たレビューとかでは、ファミコン芸人フジタ氏絡みの点を嫌ってる人もいたが。フジタ氏は前にテレビで見たぐらいの知識しかないが、マンションの一室に鬼のようにゲームを積んで、リアル足の踏み場もない衝撃的映像だったのは覚えてる

この件に関して「愛」がどうだという人もいるが。

本のプロフィールによると、この部屋の他に「5個の倉庫」があるらしいから、そっちではちゃんと整理してるんじゃね。

懐かしファミコン パーフェクトガイド

で、「懐かしファミコン パーフェクトガイド」の内容については、まあこんなもんじゃねって感じかな。前に同じくオーナーライブラリーで読んだ「PLANETS vol.7」と比べると、ゲームに関する記述はゲーマー的には納得できる気がする。ページ数と値段も、まあ妥当なとこじゃない。ちょっと、取り上げられてるゲームに偏りが見られるが、おかげで個人的には面白く読めたかな。けど、一回読めば満足だな。オーナーライブラリーやKindle Unlimitedにはうってつけだけど。

「PLANETS vol.7」については↓
「PLANETS vol.7 Repackage」をKindleオーナーライブラリで読んだよ

ただ、電子書籍の出来としてはかなり不満がある。Kindle Fire HD 8.9の縦画面で1ページずつ読んでも字が小さいのはまあ仕方ないとしても、拡大しても小さい文字だとぼやけてるんだよな。紙面のゲーム画面とか紙の資料のスキャンみたいなのは、大きさによっては判別できないぐらい不鮮明なのもあった。ファイルサイズ 61839KBってのは、カラー・白黒半々で128ページだとちょっと容量ケチり過ぎかもね。それとも、単に元の紙ムックの画質が悪いだけなんだろうか。

懐かしファミコン パーフェクトガイド: いまもあそべる せいしゅんの8ビットゲーム

今回の感想

この本を見た時は最初、「ニンテンドークラシックミニ」の便乗本かと思ったけど、出版日から判断するとそれはないのかな。中身はミーハーぽいかと思ったが、流石はファミコン全ソフトを所持してると豪語するフジタ氏の協力だけあって、思ったよりは読み応えがあったな。

ただ、親に好きなだけファミコンソフトを買ってもらえたフジタ氏だと、当時の一般国民の子供が踏み込んだアウトローな世界については知る由もなかったかな。

ディスクシステムの闇

以下余談。

P90の「想い出のディスクシステム」で、オプションのディスクシステムに触れてたのを見て思い出したんだが。本書ではディスクシステムの仕組みや歴史的経緯について説明してたが、ちょっと補足しとく。まあ、Wikipedia読んだ方が手っ取り早いかもしれんが。

ファミリーコンピュータ ディスクシステム – Wikipedia

ディスクシステム

ファミコンのディスクは同じぐらいのサイズの3.5インチフロッピーディスクと比べると、容量が圧倒的に少なくアクセス速度が遅い上にランダムアクセスが出来ない。とはいえ、両面で1Mビットぐらいの容量はファミコンのメモリには十分大きすぎるので、ディスクシステムには別途RAMを搭載してアクセス頻度を抑えようとしてたらしい。

さらに余談になるが、ディスクシステムのゲームの改造プログラム「トンカチエディター」は、ディスクのトラックが一定以上超えると正常に読み込めないバグがあったらしい。トンカチ作者は「こんな事書くとトラック数多いゲームが作られるかな」とか書いてたが、そこまでメジャーな存在じゃなかったから杞憂だったな。作者は他にも、「トラックが多いとディスクアクセスが多いからクソゲーになるからいいか」みたいな事も書いてた。つまり、ディスクシステムのゲームだとロード待ちはかなりストレスになるぐらい遅かった訳だ。

トンカチエディターについては↓
今のプログラミング教育ってトンカチエディターでファミコンのゲームを改造するのと一緒かよ

ちなみに、最初のアクセスだけで全データをRAMに読み込めば、その後のプレイはアクセス不要(通称オンメモリ)になるんだが、ファミコンでオンメモリのゲームはあったかな。もしかしたら、ザナックがそうだったかもしれないがちょっと確かじゃない。ファミコンのディスクじゃなくてプレステのCDだと、リッジレーサーはオンメモリで感心したな。

暗黒ゲームショップ

ROMカートリッジより安く、両面500円・片面400円で書き換えも出来るディスクシステムが廃れたのは、ROMカートリッジの進化により存在意義がなくなったのと、メーカーが儲からないのが原因となっていたが。個人的にはそれに拍車をかけた存在もあった気がする。

ディスクシステムのゲームは、システム的には書き換え可能だったが、実際には書き換え出来ないゲームも存在した。さらに、カートリッジ並の値段で売ってる、ディスクシステムのメリットすらスポイルするようなの(消えたプリンセスとか)もあった。

ファミコンブームだった当時は、町にゲームショップが結構あったんだが。そういった店の中には任天堂のディスクライターではなく、なんらかのコピーマシンを使ってゲームを書き換えてる店があったんだが。そこでは、在庫があればどんなゲームでもコピーしてくれたらしい。

書き換え料金はだいたい任天堂と同じ値段だったから、正規のラインナップで書き換え可能なタイトルをコピーするメリットはなく、主に利用されるのは当然書き換え不可なセルオンリーのゲームなのは言うまでもない。これだと消えプリみたいな販売専用のゲームは、売上がコピーに食われるは、書き換えられても一銭も入らないからたまったもんじゃなかったろう。

子供からしたら大人の事情なんて知らないし、金払ってるから罪悪感とかも同然なかったが。正規のディスクライターには違法コピーしたディスクをチェックする仕組みがあって、その時初めてアンダーグラウンドな世界に手を出したことに気づいたけど。その後店員に事情聴取とかされそうになったら、電車で痴漢がバレて線路に飛び込むぐらいの心境になるよな。

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愛しのアイリーン

なんか、楽天Kobo割引クーポン対象の中に、新井英樹著の「愛しのアイリーン」を見つけたんだけど。当時連載されてた、ビッグコミックスピリッツは立ち読みしてたから何話か読んだ記憶があるけど。他の連載作と比べて、浮いた作品だなと思ってた。

そんな訳で、上下巻2冊で完結して1冊270円で20%割引クーポン対象なんで買ってみた。20%オフより、200円引きクーポンのほうが割引率高かったんでそっち使ったけど。

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対象コミックが20%OFF!:楽天Kobo電子書籍

ただ、これ発行元が元少年A著の「絶歌」の出版社、太田出版なんだよね。ここって、「ピコピコ少年Super」のネット公開でも鯖落ち炎上商法してたところで、正直金落としたくないんだけど。まあ、別に出版社で漫画買ってるわけじゃないからな。

ちなみにAmazonのKndleストアでも、現時点で270円で20%分ポイント還元で売ってるな。

愛しのアイリーン[新装版] 上

愛しのアイリーン[新装版] 下

今回の感想

20年ぶりぐらいに再読したけど、少子高齢化社会になりつつある日本の状況下だと、違和感のない内容にも思えるな。昔は主人公の岩男の言動は笑えたが、この年になると別の意味で笑えなくなってるな。今、若い人が読んで面白いと思えるかは疑問だが。将来結婚するのか迷ってるなら、イオンがいらないと言ってる40才の日本人男性予備軍にならない為にも、読んどいてもいいかもね。

今の世の中じゃ、下手すると就職だけじゃなく、結婚も18才で決まるのかもしれんな。現在、低所得者だけど結婚したい人は、若い時に結婚できないと一生結婚出来ない可能性も充分ありえるし。もっとも、高所得者でも「妻をめとらば」みたいに苦労する人もいるだろうが。

妻をめとらば(1)

そう言えば、妻をめとらばの作中では先輩が新入社員に、「研修中に恋人がいれば結婚、いなければ彼女作っとけ」とアドバイスしてたな。これは、仕事が忙しくて彼女を作る暇のない職場の話だが。その割には、主人公は積極的に女性と付き合ってた気がするが。まあ、そうじゃなければ話が進まないけど。

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モバイルハウス

坂口恭平 著の「モバイルハウス 三万円で家をつくる」を読んだ。内容は、路上生活者の家を参考にして、モバイルハウスを建てるという実験をドキュメント風に書いたもので、元々は雑誌「すばる」で連載してたのを再編成したらしい。

モバイルハウス内容

内容を大雑把にまとめると、家を建てるのに、本当に数千万円の金が必要だろうかという疑問に対する解決策を、路上生活者の家からヒントを得た。家に車をつければ法律上の不動産には該当しないので、建築基準法に従う必要もなく、固定資産税もかからないから金もかからない。土地については、駐車場に設置すれば借地より安く借りられる。

インフラは、電気はソーラパネルで発電して、自動車のバッテリーに充電。筆者は冷蔵庫・エアコンなどの電力を食う家電はいらないらしい。洗濯はコインランドリーを使い、水道は公園の水を使用。ガスはカセットコンロでガスボンベを使うが、使用量が多ければプロパンガスの方が単価安くなるんだろうか。トイレは公園のトイレを利用。

つまり、自分ではできるだけ金を払わず公共のインフラにタダ乗りするってことらしい。本書の記述では「もっと水とトイレがある公園が増えれば、家にインフラを接続しなくても生活することが可能になるのではないか」と書いてある。

まあ、若いうちに遊びでこういう暮らしをしてみるのはいいかもしれんが。年取ってからも持続可能な生活ではないな。

モバイルハウス問題点

実際に、モバイルハウスを設置する駐車場を借りるために契約するんだけど。この時、不動産業者からの「この手づくりキャンピングカーに住むんじゃないですよね?」という質問に、「はい、住むわけではありません」と答えるてるんだよね。これについては、「住む」ことは法律で定義されてないから云々と書いてるが、屁理屈に近い都合の良い解釈をしてるように思える。全体的に、法の抜け道とかを探して、裏ワザ的なやり方で通そうとしてる。

公園の水についても、私的利用を禁じられてるがどこまでが私的なのかは曖昧なので、線引を確認するためにも使うなどと言ってるが。あまり考えにくいが、将来こういう人が増えれば対策が取られるんじゃね。例えば、水を汲むのは2リットルまでとか。

モバイルハウスでの生活?

本書を読んでいると、モバイルハウスに住んでるといっても、実際には365日住んでるようには見えない。家というより別荘と言ったほうが良さそうな頻度に思えた。

後半の「モバイルハウスでの生活」という章(P132~)では、吉祥寺から熊本に引っ越した生活について書いてるが。トイレは「今回は僕が借りている事務所兼避難所のゼロセンターのトイレを使う」って、事務所借りられない奴はどうするんだよ。それ以前に、「吉祥寺のときはコンビニを使おうかと思っていたが」って、トイレ利用するたび買い物するのか。しないで1日に何度も利用する気だったんだろうか。

料理については「ちょとしたものならカセットコンロを使い、ちゃんと料理しようと思ったときはゼロセンターのキッチンを利用した」って、またゼロセンターかよ。ちなみにそこの家賃は3万円らしい。

ゼロセンター Part.1 | プライベートとパブリックの境界をなくす、新しい住まい方の実践。 | TheFutureTimes

他にも夏については、「仕事をするなら、クーラーの効いた図書館のほうが良い」って、やっぱタダ乗りか。まあ、650円払って近くのホテルに行くこともあったらしいが。冬に関しては、 小さいモバイルハウスだと暖房効率が良いとのことだが。夏の暑さに関しては、筆者もモバイルハウスの問題点だと認識してる。

今回の感想

この本を読んでると、ずいぶんと格好いい言葉が並んでるが。例えば、「インフラなんてそんなに必要なのかと、ここで暮らしているとそう思ってしまう。今までが過剰だったのだ」とか、「どこにも寄生しない生き方。これがこのプロジェクトの主題だ」とか。

そういったさんざんご立派なご高説を拝聴したが、結局は国のインフラにタダ乗りする前提なんだよな。なんというか、働かなくても暮らせる生活保護の裏マニュアルみたいなのを読んだ気分になる。日本の家が高すぎるとかの考え方には、同意できる点もあるんだけど。

本書でのモバイルハウスの運用は、オフグリッドで全部やる覚悟がある人には有用だけど、そうでなければトレーラーハウスでよくね。筆者みたいな中途半端な腹積もりなら、キャンピングカーでも買ったほうがいいんじゃね。そうなると数百万の金は必要だが。

まあ、筆者からすれば、インフラタダ乗りとかいう批判自体が的外れな主張だと思ってそうだが。各世帯にまでインフラを引くのは贅沢すぎるので、みんなで共用できるようなシステムにすればいいじゃんみたいな。イメージ的には、キャンプ場みたいな借地を作って、そこにモバイルハウスを設置して住むことが一般的になればモバイルハウスで生活できるぜって感じかな。

モバイルハウス 三万円で家をつくる (集英社新書)

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ベーシックインカム

先日書いた「ベーシック・インカム」の感想の続き。今日は第3章について。

第3章 ベーシック・インカムは実現できるか

現在、国家がなしているさまざまな業務をBIの支給に置き換えれば、国家は貧困を解消することができる。資本主義の矯正をもっとも効率的に行えるのがバラマキであり、究極のバラマキとしてのBIである。

P178

この章は財源など、BIの実現可能性について。それと、BI導入で想定される問題や批判などへの回答。

BIの制度と財源

まず前提条件として、BIは従来の社会保障の代替なので、年金や失業保険とかの予算をすべて財源とする。医療保険は、改革の必要はあるが、本書ではほとんどノータッチ。年金の2階建以上については、私的年金に置き換えるのが望ましい。所得税は累進課税を廃止して一律30%。

BIの制度は、20歳以上に月7万円、20歳未満に3万円を支給する。BIに必要な予算は32.9兆円。代替財源の候補は、老齢基礎年金(16.6兆円)・子ども手当(1.8兆円)・雇用保険(1.5兆円)から19.9兆円。一般会計の中の生活保護負担金。中小企業関係費・農林水産省予算・地方交付税交付金のうち、無理やり雇用と所得を維持するために使ってる費用から、15.9兆円。合計で35.8兆円を想定。

BIもらったら働かない?

何もしないで金がもらえるなら、誰も働かなくなるのではないかという批判があるが。収入があればその分支給額が減る、現在の生活保護受給者なら確かにそのとおりだが。BIだと、収入があって税金で3割引かれても支給額自体は減らないので、BIなら働けば働くほど収入が増える。それゆえ、少なくとも生活保護よりは労働意欲は阻害されない。それに、受給額だけでもゆとりを持って暮らせる生活保護と違って、月7万のBIだけでは最低限の生活しか出来ないので、この金額で満足できる人は多くない。

BIの運用方法

筆者が想定してるBIの運用方法は、すべての成人に年84万円を銀行口座に振り込む。基礎控除などほとんどの控除を廃止する。厚生年金は独立採算制の年金に置き換える

銀行口座については、一人一つしか持てないBI口座を作らせて、BI含めたすべての所得をBI口座を通すようにさせる。これによって個人の金の流れが把握できて、税務署の仕事も楽になる。BI口座を通さない所得については「正しく所得を申告したかの挙証責任は、この口座を通さなかった人のものとなる」とする。

BIの水準は低すぎるか

本書で提案するBIは、月額20歳以上 7万・20歳未満 3万の支給だが、これでやっていけるかという疑問について。筆者は、生活保護以下であることは認めているが、著しく低いわけではないと説明。現行の生活保護水準が高すぎるのに加え家賃補助があること、BIの子供への支給が少ないことを理由としている。

具体的な世帯で例を挙げると。BIの給付水準は、子供が二人いる夫婦なら都市部だと大分見劣りするが、町村部では変わらない。老夫婦のみだと、都市部では低いが町村部では逆に多くなる。子供一人のシングルマザーの場合だと、都市部では圧倒的に少なく、町村部では差が縮まるとはいえかなり厳しい水準になる。

都市部での生活保護の優位性については、住む地域によって金額が変わる生活保護制度がおかしいと批判。支給額は固定にして、都市部に住めなきゃ住めるところへ引っ越せばいいと一蹴。個人的には同意。

子供への支給が少ない点については、大人の支給を減らしてその分子供を増やす手もある。本書では、大人の月7万円を6万3500円に引き下げれば、子供を月6万円まで引き上げられるとしている。

本書では一人暮らしのケースについてはまったく想定していない。月7万円だと、健康ならまだなんとかやっていけるだろう。住むところを持ち家か、賃貸なら公営住宅かそれに近い家賃で済ませるのが絶対条件になるが。まあ、若ければ普通働くから問題無いというか、おそらく筆者には到底思いつきもしないケースなんだろうが。35歳過ぎると、それすら厳しくなるからな。BIが導入されれば、状況が変わる可能性もあるが。

ただ、一人暮らしってのは、年をとってからパートナーと死別した老人だって該当するんだけど。この点についての筆者の見解を聞いてみたい。

医療問題

医療費については、BIだけでは解決できないとも考えている。それなので、「生活保護費のうちの医療費に使っている額は、BIの代替財源から除外している」。本書では医療保険という言葉が度々出てくるが、これは民間の医療保険ではなく、国民健康保険や会社の健康保険の意味で、基本的には国の仕事だと考えているようだ。

対策は「いくつかの医療保険のメニューを提示し、人々はそのどれかに強制的に加入させられるという制度を考える」として、選択肢の例は以下のとおり。

  1. 終末医療は受けない
  2. 生活の質を保てない延命治療を受けない
  3. 効果のそれほど明らかでない医療を受けない
  4. かかりつけ医の診断を得なければ専門ないし大病院に行くことが出来ない

この項目を選べば選ぶほど、保険料が安くなる医療保険制度を作る。

BIがメインの本なので、この件については正味2ページもないので、あまり突っ込むべきではないのかもしれないが。医療費の上昇がBIの実現・維持の妨げになりかねない重要問題なので、一応書いとく。

個人的には保険料を安くするのには反対。単に、選択肢については保険適用外にするだけでいいだろう。保険料を安くするのは、医者にかからなかった人とか、医療費が健康診断とかの保険適用外の全額自腹だけか、少額だった人のみを対象にして。さらに、非喫煙者・非肥満者・健康診断の数値に異常なしといったプラス要因に応じて割り引けばいい。もしくは、上記に反対の人には保険料を引き上げるか、保険料はそのままで自己負担割合を増やすか。いっそ両方増やしてもいいと思うが。

4については、国も最初に病院に行く時は、近所の小さい病院での診断を推奨してるが。かかりつけ医のレベルを上げずに実施するのは、片手落ちだろう。都内はどうか知らないが、地方だとかかりつけ医の役割を果たせない奴もいるからな。知り合いの話だけど、お腹が痛くなって近所の病院行ったけど治らなくて。結局、症状が悪化して大病院に行ったら、胆石が原因で手術したらしい。この場合、最初に見た医者の最低限の仕事は、適切な診断が出来なければ専門医や大病院を紹介して、初診料アップされないで済むように紹介状を書くことなんだけど。

下のコラムに書いてある「「様子見ましょう」で手遅れになるような医師では嫌なのです」ってのが、国民の正直な気持ちじゃね。

「かかりつけ医」 の意味はなんでしょう

まあ、今の健康保険でも、医療費が上限超えれば高額療養費制度が使えるから、大部分の人はなんとかなるんじゃない。今後も、この制度が維持されるかどうかは疑問だが。高額療養費制度があっても、どうにかならない人には、「現行の生活保護の運用を改善して賄うしかないだろう」と書いてるが。この問題については決定的な対策はないよな。

BIは賃金を引き下げるか

BIで一定の収入が保証されれていれば、劣悪な条件で働くぐらいなら働かなくなるだろう。そうなると、金がないから仕方なくブラック企業で働く必要がなくなれば、企業は給料を上げるしかなかろう。すき家やワタミみたいに。

また、遊ぶ金欲しさに短期や短時間働きたい人もいるだろう。今までだとそういう仕事は厚生年金に加入させなくてもすむ、学生アルバイトや扶養範囲内に収入を抑えたいパート主婦年金収入が減らない程度に働きたい年寄りの独壇場だったが。BIで、扶養控除とかが廃止されれば、それ以外の人にも働き口が増えるだろう。そうなれば、多様な働き方を認める社会になるんじゃね。

BIと移民

ここは原文そのままで引用。「移民は、年500万円以上を間違いなく稼げる人に限定して認めるしかない。福祉国家は、移民を制約する国家であることを、むしろあらかじめ明らかにしておくべきだ」

これは文句なしに賛成。移民にも寛容な福祉政策は軋轢を生じるだけ。

夢追い人を増やさないか

働かなくても一定の収入があれば、役者や小説家などなれる可能性の低い職業を目指す夢追い人が増えることを懸念してる人には、そうかもしれないと認めている。だが、これは別に良いことだとも言ってる。

私も、現状の生活保護受給者がパチンコ行くよりは全然いいと思う。もしかしたら、そこからベストセラー作家が生まれるかもしれないし。

かつて『ハリー・ポッター』作者ももらっていた「生活保護」 | ダ・ヴィンチニュース

だからといって、生活保護で上記記事にあるようなサポートを政府がやるのは金の無駄。ハリポタ作者にかけた費用は、印税で回収できたかもしれないが。その他大勢のワナビーや脱落者や、本気じゃないけど金払わずサポート受けられて生活保護がもらえるからって、金もらうためだけに職業訓練受けてる日本の失業者みたいな奴が増えるだけ。

バラマキ政策は悪くない

バラマキ政策については明確に書いてる。「要するに、自分の気に入らない支出はバラマキで、自分の気に入った支出はバラマキではないようだ」

上記以外にも、バラマキが批判される理由のいくつかを述べている。頭使わずに誰でもできるから馬鹿にされる政策な点。これは、無能な政府が余分なコスト使って、バラマキより非効率な金の使い方をするほうが問題だと思うが。あとは、ばらまく対象が限られるので不公平感がある点。逆に子ども手当のように、金持ちにも貧乏人と同じ額を配ってると、これはこれで文句が出るんだよな。

感情論は無視して理論的に考えれば、BIは全員に配るから公平でいいじゃないか。金持ち云々については、いちいち所得制限とかをかけるコストを考えると、効率重視で問題無いと思う。それに、本書にも書いてあるが。現状でも、所得の多寡に関係なく所得控除されてるからな

本書では想定されてない問題

そんな訳で、ベーシックインカムについての記述には全面的に賛成なんだけど。いくつか本書では触れてない件について指摘してみる。

海外移住

BIの要件を日本国民にすると、国籍抜かずに海外に住んでる人にも支給されるんだろうか。現在の年金は、海外の銀行の振り込み手数料を国が払って支給してるが。振り込み手数料は、受給者負担にすべきだと思うけどね。

個人的には、国内在住も条件にして欲しいかな。BIで受け取ったお金を、日本の消費に貢献しないで海外で使われても、百害あって一理なしなので。そうなったとしても、私設私書箱を住所にして外こもりとかされたらどうしようもないが。

海外に行く時に出入国管理をして、日本に滞在してる日数をカウントしてチェックするか。すでにこういうことしてるなら問題ないけど。

ちなみに、今のパスポートってICチップ搭載してるのか。けど、パスポートの情報が偽造されてないか確認するぐらいしか出来ないのかな。しかも、ICチップ読み取れない・読み取らないところなら意味ないみたいだし。

大阪府/パスポートのミニ知識

3K労働

BIを導入しても労働意欲は下がらないとは思うが。それでも、介護とかのきつい仕事に就く人は、今より減る可能性はあるな。これは、どこまで3K労働の給料が上がるか次第だが。人件費の上昇は当然、介護費用にも影響は出てくるだろう。

そうなると物価も上昇するだろうから、BIもそれに連動するようにしないと、今の年金みたいに目減りしていくな。

「ベーシック・インカム」感想

本の最後のほうに、こんなことが書いてある。

ベーシック・インカムによって国家は貧困を解消できる。また、他の方法によって貧困を解消することはできない。

貧困問題はお金だけでは解決しないけど、お金さえあれば解決する問題はBIで解決するし。雇用創出にかけてる無駄な費用をなくせるし。生活保護(医療費除く)と基礎年金については廃止できるし。BIで人的リソースと金を無駄に浪費しなくてすむ分、金以外のサポートにも資源を回せるって事だろう。医療費問題については解決出来ないけど、現状の生活保護だと解決どころか悪化する一方なんだからそれより全然マシ。

ちなみに筆者は、今の生活保護はもらい過ぎと考えている。生活保護受給者が、国民健康保険や医療費の免除があるという点については触れていないが、それでも多すぎると思っている。まあ、月7万円のBIがあれば、憲法で保障する健康で文化的な最低限度の生活は送れると思ってるんだから当然だが。

ベーシックインカムは、「ダメ人間を国が養う必要があるのか」とか、「金持ちにまで金を渡すのか」などと批判されてるが。日本で生きている以上、多かれ少なかれ税金の世話になってるわけで。金持ちだと自分が享受する公的サービスより、払ってる税金のほうが多いんだから、たとえベーシックインカムが導入されたって、文句を言われる筋合いはないだろう。

もっとも、ベーシックインカムは世界中でまったく実績のない政策だから、日本で実現する可能性は現時点ではほとんどないと思うけど。受給者を堕落させるだけの生活保護制度を、その場しのぎの対応で延命するだけ無駄だから。ベーシックインカム導入の前に、とっとと住宅・医療扶助は廃止して、現金一律支給一部現物支給に切り替えるべき。まずはそこからだな。

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ベーシックインカム

なんか、ベーシックインカムが財政的には実現可能と書かれた本があるという記事を読んだので、ちょっと読んでみた。

ベーシック・インカム : 年間生活費100万円! 36歳からのドケチリタイア日記

ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか

とりあえず気になった記述をまとめてみる。もっと詳しい説明や根拠について興味のある方は、本のほうで確認して下さい。なお、「BI」「べーシック・インカム」の略です。

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第1章 所得分配と貧困の現実

本書のBIの提案は、生活保護に支出されているレベルを下げて、それをすべての人にアクセスできるようにしようということである。

P45

まずは日本の福祉についての現状分析。日本では、企業に社会保障の一端を担わせてるが、本来は国の仕事ではないかと指摘。もっとも、これは正規雇用のみの話。現在では非正規雇用が増えているので、その恩恵を受けられず貧困に陥る可能性が高い。

そういう人の為に生活保護があるが、日本の生活保護は受給水準は高いが受給率は低い。おそらく、このほうが広く浅く支給するよりも費用が抑えられるからと推測。事実、他の先進国と比べて、GDPに占める生活保護の支出割合は低い。

また、現在実施されてる雇用の創出などについても、中間で中抜されて一部の既得権益層が得するだけで無駄が多い。だったら、全員に公平に現金をばら撒いた方が効率がいいし平等である。それを実現するにはBIが一番手っ取り早い

第2章 ベーシック・インカムの思想と対立軸

不正受給の多くが、収入があるのに申告してないケースだというのは、現行の生活保護制度の欠陥を示している。働けば生活保護費を減らされてしまうのでは、誰も働こうとしなくなる。あるいは、申告しようとしなくなる。BIが導入されれば、働いて収入を得ることは賞賛されることになる。

P108

この章は、BIの歴史とか所得再分配についての記述だが、興味ないので大幅に省略。

BIには世代間格差がないので、現状の著しく若者に不利な高齢者勝ち逃げ年金制度よりも優れている。今後、歴史的な超少子高齢化社会を迎える日本には、有効な政策である。

また、生活保護の不正受給者の多くは、収入があるのに申告しない点について触れている。具体例として、もうすぐ政界引退する橋下徹市長の「不正受給調査専任チーム」による対策をあげているが。

大阪市の生活保護不正受給“容疑者”は、専任チームに1ヶ月間監視されている – ニュース – ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]

「ケースワーカーは生活保護者を100人くらい担当しているなんてザラですから、時間的余裕がない。そこでケースワーカーに代わってわれわれが調査する。家から出るところに警察OBが張り、僕は店のほうにいる。家を出ると警察OBから僕に電話が入る。自転車でスナックに出勤してくる。店に入り開店準備をしていることを確認する。調査は最低でも1ヵ月続けます」

その為の人件費は無駄と切り捨ててる。ちなみにこの制度、今でもやってるみたいだな。

大阪市 政策企画室 【報道発表資料】生活保護の適正実施に取り組みます

全区に配置している、警察官OBを含む「不正受給調査専任チーム」により、不正受給が疑われる事案に対して重点的調査を実施し、引き続き不正受給の徹底排除に向けた取組を推進します。

【平成27年度予算額 2億800万円】

2億800万も使うのかよと思ったが、大阪市の生活保護の予算(H23年だが)の0.1%にも満たないのか。これなら気合入れて調査すれば元取れるかも。

大阪市市政 生活保護行政に関するよくある質問

大阪市における生活保護費の平成23年度予算は2,916億円となっています。

で、実際の成果はどうかと思ったて調べたら、個別の案件についての詳細まで公表してた。生活保護Gメンといい、FAQの細かさと丁寧な回答といい、大阪市の生活保護への力の入れ方は半端ないな。

大阪市市政 不正受給対策

これを見ると一定の効果はあげているようだが。ざっと見たところ、返還された費用だけでは、元は取れてなさそう。まあ、不正受給者や予備軍への威嚇効果はあるだろうし。受給を打ち切られれば将来の支出も減るだろうし、数字だけでは判断できないかな。

もっとも前述したとおり、ベーシックインカムを導入すればこんなことする必要なくなるんだけどね。

今回はここまで

最後まで通して読んだんだけど。3章の「ベーシック・インカムは実現できるか」については、簡単に書けそうにないので、また次の機会にします。

続きを書きました
「ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか」を読んだよ補足 -第3章-

とりあえず、本書の言いたいことを大雑把にまとめるとこんな感じ。

一部の人にワープアより贅沢な暮らしができる生活保護費を支給するよりは、国民全員に文化的な最低限度の生活を送れる程度の金をばらまいた方が効率がいい。現行では、企業に社会福祉の一部を重荷に感じるほど負担させてるが、それは本来国が行うべきことで、財政的には今の日本でも実現可能(詳細は第3章で説明)。金を配ったからって、すべての貧困問題は解決できるわけではないが、現状の生活保護だって効果をあげてない。少なくともベーシックインカムなら、現在の社会保障政策でやってることより、貧困から救える人は多くなるのに手間暇金はかからない

個人的には、本書のベーシックインカムの内容については、ほぼ全面的に同意するので、財政的に実現可能なら実現に向けて進めてもらいたいと思っているが。実際にベーシックインカムが導入されると困る既得権益層の抵抗は、相当激しくなりそうだな。