今更ながらスティーブ・ジョブズ I・スティーブ・ジョブズ IIを読んだ。一将功成りて万骨枯る。
正直ジョブズは好きじゃないんだけど内容的には、あくまで本人の希望らしいが、よくここまで書けたものだと感心した。自伝じゃなくて暴露本で売ってもおかしくないぐらい。なので、ジョブズを崇拝してない人でも問題なく読める。個人的には思ったとおりの嫌な奴、というよりはむしろ思ってた以上に嫌な奴って感じ。だけどジョブズがそういう人じゃなかったら、AppleIIやMacintoshやiPhoneもこの世に存在することはなかったのかもね。
実際ジョブズのいなかった頃に発売されたMacintoshはマジくそみたいな製品ばっか。不恰好なデスクトップ。狛犬や鏡餅と揶揄された一体型。ノートは多少マシだったか。3Kg近い持ち運びたくないようなのばかりだったような。2.4KgぐらいのはIBMのOEMだったか。
とはいえジョブズの作った製品は、芸術作品としてはコンピュータ製品の中では悪くないように思えるが、製品としての品質はどうだか。ジョブズがAppleに復帰した後Macクローンを廃止する話があるんだけど、ジョブズは「お粗末なハードウェアを作っている会社にうちのオペレーティングシステムを使わせ、売り上げを奪われるなんて、そんなバカな話はない」と言ってる。事実同じページに「クローン1台につき80ドルのライセンス料金が入ったが、マックの市場は広がらず、最大で500ドルもの粗利が得られるアップルのハイエンドコンピュータがクローンに食われる結果となったのだ」という記述がある。
私の記憶では、クローンはローエンドでは本家より安くハイエンドでは本家よりも性能が高いマシンを売ってたような。ミドルレンジも拡張性・性能・値段と本家よりもお買い得。他にもメーカー独自に付加価値をつけたモデルもあった。互換機はデザインがPC並みに普通だったんだけど、当時は本家のデザインも優位どころか五十歩百歩だったから。品質は実際の良し悪しは不明だが、保証期間はアップルの1年に対して互換機メーカーは3年とかそれ以上つけてるところもあった。モトローラのStarMaxにいたっては5年保証。
昔コンパックが日本に上陸して黒船来訪みたいに騒がれた時があったけど、10万未満の最下位機種にまで3年保証つけてた。「この値段で無償修理してたら赤字になる。それだけ品質に自信があるんです」みたいな記事を当時読んだ。ジョブズ率いるアップルには、革新的な製品を作るためには注力するけど、高品質な製品にはあまり興味がないように思える。
ちょっと話がそれたけど、ジョブズの言うとおりクローンメーカーの「お粗末なハードウェア」に「売り上げを奪われる」のは事実らしい。同じOSが動くコンピュータなら消費者は同程度の性能なら低価格な方を、同程度の価格ならより性能の高い方を選ぶよね。林檎マークに差額の価値を見出せない人以外。これがジョブズには悪貨は良貨を駆逐するように見えたんだろうね。
などと書きたい放題書いてるが、iPod touch使ってたりする。便利だよコレ。メール・WebとかFXのレートチェックに注文、一部のネットバンキングとだいたいの事はコレ一つで事足りちゃう。おかげでPCの起動時間減ったよ。
まあ何の力も持たない貧乏人は、木の上に登ったり倒したりして上にあるタマゴを捕ろうとしなくてもよかろう。
とゆーわけでアンチも信者もどちらでもない人にもiPhoneとかの生みの親に興味があれば読んで損はない。文中にいろいろな人がジョブズについて評してるけど、個人的に共感持てたのはビル・ゲイツ。客観的に見ればまったくその通りだよな。
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